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令和7年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題8解説

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令和7年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題8解説

問1 ストラテジー能力

 文章中に出ている文法能力、談話能力、社会言語能力、方略能力については以下参照。

文法能力 音声、発音、単語、文法、綴り、語構成など、単一の文レベルで正確に使用できる能力。
正しさ、正確さの能力。
談話能力 文全体の意味や形式などを一致させ、前後の文脈を結びつけた分かりやすい談話を複数の文にまたがって作り出す能力。
分かりやすさ(明晰さ)の能力。
社会言語能力
社会言語学的能力
その場の場面や状況にあったふさわしい表現を使用できる能力。
社会的に「適切」な言語を使う能力。
ふさわしさ(適切さ)の能力。 語用論的能力ともいう。
方略能力
ストラテジー能力
言語知識が不十分でコミュニケーション上の問題が起こった時にそれを乗り越えるための能力。
コミュニケーション・ストラテジー(communication strategy)を使う能力。

 1 方略能力の例
 2 談話能力の例
 3 社会言語能力の例
 4 文法能力の例

 答えは1です。

問2 インタビューテスト

選択肢1

 初級の学習者に「100万円あったら何したい?」と聞いたら、求める答えは「旅行に行きたいです」とか「家を買いたいです」とかだいたいそのレベルの答えで、あとは必要に応じてちょっと深掘りの質問をするイメージでしょう。この質問の目的は、選択肢2に書かれている、ある状況を仮定してどうするかを述べることができるかどうかです。この選択肢は間違い。

選択肢2

 「この仕事は何?」と写真を見せる質問。学習者は写真から得られる情報から推測して答えないといけません。だから選択肢1の見聞きした情報を第三者に伝えることができるかどうかが狙いです。この選択肢は間違い。

選択肢3

 どんなところで働きたいかという質問には、自分が考えていることを話させる狙いがあります。場合によってはどうしてそこで働きたいのか等と深掘りする質問をして、考えを順序だてて話させるようなこともあるかも。この選択肢は間違い。

選択肢4

 これが答え。休みにどんなことをしたか聞く目的は、やったことを時系列に沿って話させるためです。

 答えは4です。

問3 信頼性

 テストの信頼性とは、そのテストを同じ人に何度もやった場合、常に同じような結果が得られるかどうかの度合いのことです。

選択肢1

 インタビューテストの実施時間を短くすると、学習者の本来の力をまんべんなく引き出せなくなり偏りが出るかもしれないので、テストの結果が安定しなくなります。これは信頼性を低める方策だから間違いです。

選択肢2

 実際に遭遇する場面をテストに用いると、テストの真正性が高まります。つまり、現実的な活動がどれほどテストに取り込まれているかの度合いが高まるということです。この選択肢は間違い。

選択肢3

 一人で採点をするとテストの結果が不安定になる可能性がありますので、複数の教員で採点し合ってその平均を取ったりすることで結果が安定し、信頼性が高まります。この選択肢が答え。

選択肢4

 独話の力を評価したいなら一人で話をするスピーチでテストしたほうがいいです。ロールプレイは相手がいる活動だから独話の力を評価するのに向いていません。ロールプレイにすることで評価しようとしているものが測定できなくなるから、これはテストの妥当性が低まっています。

 答えは3です。

問4 社会文化的アプローチ

 従来の個人主義の学習観では、学習は個人で行うもので直線的なものという考え方ですが、それとは異なる考え方をとるのが社会文化的アプローチです。社会文化的アプローチでは、人は他人や文脈とは切り離すことができず、相互にかかわっていると考え、学習を社会的な出来事として捉えています。詳しくは佐藤・熊谷(2010)を参考に。

選択肢1

 「直線的」というキーワードが出てきてまして、これは従来の個人主義の学習観の特徴です。この選択肢は間違い。

選択肢2

 「学習者個人」というのが誤り。社会文化的アプローチでは学習を他者との相互行為と見るので、影響を与え合う複数の学習者の能力を変化が「学習」です。この選択肢は間違い。

選択肢3

 これも間違い。社会文化的アプローチでは学習を学習者間の相互行為と捉えるので、学習者が一方的に知識を受け取る過程ではなく、逆に他の人に知識を与える過程も含まなければいけません。

選択肢4

 これが答え。「互いに影響し合う」というのがキーワード。

 答えは4です。

 参考文献
 佐藤慎司・熊谷由理(2010)「アセスメントの歴史と最近の動向―社会文化的アプローチの視点を取り入れたアセスメント」『アセスメント日本語教育―新しい評価と実践』1-17.くろしお出版

問5 形成的評価

 教育活動における評価は診断的評価、形成的評価、総括的評価に分けられます。
 簡単に言うと、診断的評価は指導前に指導に必要な情報を集めるために行う評価、形成的評価は指導が一区切りつく段階で行われる評価総括的評価は学期末とか最後に行われる評価のことです。詳しくは各リンク先をご覧ください。

 1 修了テストは最後だから、これは総括的評価
 2 小テストは一区切りつく段階だから、これは形成的評価
 3 出願時は指導前だから、これは診断的評価
 4 クラス配置を決めるのは指導前だから、これは診断的評価

 答えは2です。




コメント

コメント一覧 (4件)

  • いつも拝見させていただいており大変助かっております。
    以下、ご参考になれば幸いです。

    “問4 社会文化的アプローチ”ですが、コスモピア社から2025年6月30日に発行されました「日本語教員試験『応用試験 読解』解ける500問」のP.118からの問題6の問3に例題が載っておりまして、P.161の解答解説から一部引用しますと、「学習は社会的・文化的な文脈や他者との相互作用を通じて行われるとする」とあります。従いまして、答えは4ではないかと思われます。

    • >mitsuさん
      ありがとうございます! そちらの論文の参考文献にある書籍がおそらく原典ではないかと思われるものを発見しました。
      今すぐには読めないのですが… 帰国したら買って読んでみます。それまでこちらの解説はいったん置いておくことにいたします。
      重要な情報ありがとうございました!

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