テストの真正性(authenticity)
テストの真正性(authenticity)とは、テストの内容や出題形式に現実場面で起こりうると予測される言語活動をどれほど取り込み反映しているかというテストの性質のことです。
例えば、不動産屋で部屋を借りるロールプレイをテストとして行った場合、このテストは実際の不動産屋における言語使用場面を取り込んでいるので真正性がある程度保たれていると考えることができます。すなわちこのロールプレイをうまく遂行した学習者は、実際の不動産屋で部屋を借りる場面でもおそらく問題なくコミュニケーションでき、課題を遂行できるだろうと推測できます。このように、真正性はテストの結果から学習者が現実場面でどの程度日本語を運用できるか予測できる指標であり、真正性が高ければ求められる言語使用の能力をより正確に測定できていると考え、低ければできていないと考えます。
一方、与えられた脚本に沿ってうまく演じられるかといったテストはそのテストの内容が現実場面でまず起こり得ないものであるため、真正性はかなり低くなります。真正性が低いテスト、すなわち現実場面をあまり反映していないテストは、そのテストの結果によって「学習者は現実場面でもそれができる」ということを言うことができません。現実のコミュニケーション場面を重視したテストであれば真正性が保たれていることが重要です。
参考文献
伊東祐郎(2022)『日本語教育 よくわかる評価法』165頁.アルク

コメント