令和元年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題1解説

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令和元年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題1解説

問1 他動詞文

 日本語における他動詞は、動詞が表す動きの対象を「を」で表す動詞のことです。例えば次の例文を見てください。

 (1) 私は 野菜を 切る。    (他動詞)
 (2) 彼は パスポートを 落とす。(他動詞)
 (3) 地震が 津波を 引き起こす。(他動詞)

 述語に他動詞が使われているこれらの文は他動詞文と言います。他動詞は動作主が対象に対して働きかけることを表し、典型的には働きかけによって対象に対して何らかの変化を及ぼすことを表します。例えば(1)であれば対象「野菜」の形状変化を引き起こし、(2)は対象「パスポート」の位置変化を引き起こし、(3)は対象「津波」を発生させています。

選択肢1

 この選択肢が答えです。上述したように他動詞は動作主が対象に対して働きかけ、典型的には働きかけることによって対象に何らかの変化を及ぼすことを表します。
 ただし、他動詞とは言っても対象に何らかの変化を及ぼすとは考えにくいようなものがあります。

 (4) 私は音楽を聴く。 (他動詞)
 (5) 彼はテレビを見る。(他動詞)

 これらは対象である「音楽」や「テレビ」に変化をもたらしているとは考えられませんが、日本語では「を」を用いるので他動詞と認定されます。問題に「『他動詞文』の典型的な特徴」とあるのはこれら変化を及ぼさない他動詞を除くことを意味します。

選択肢2

 相互に働きかけ合うというと、喧嘩する、競う、争う、別れる、戦う、結婚するなどの必須の相手をト格で取り、「~が~と」の文型をとる動詞のことが思い浮かびますが、「私が彼と結婚する」における「彼」は普通対象と呼ばず「相手」を呼ぶのが普通なので、問題文にある「動作主と対象」は謎。

選択肢3

 他動詞は対象を表す補語をヲ格で表します。「私が歴史を勉強する」のように。対象を表す「を」が現れるものを他動詞と呼んでいるので、対象「を」が現れないものは他動詞ではなく自動詞と認定されます。「に」をとるものは他動詞ではなく自動詞。例えば「りんごが机の上にある」などの存在動詞も「に」を取るし、「私が学校に行く」のように移動の着点を「に」で表す移動動詞も

選択肢4

 形容詞文は主語の状態がどうであるかを述べる文で、この選択肢は主として形容詞構文のことを言っていると思われます。

 (6) 太陽がまぶしい
 (7) 話が長い
 (8) あそこにタクシーがある

 (6)は「太陽」が「まぶしい」状態であることを述べる文で、(7)は「話」が「長い」状態であることを述べています。状態を表す語は形容詞だけでなく、(8)のように動詞であることもあります。(8)においては主体「タクシー」が存在しているという一種の状態を表しています。

 したがって答えは1です。

問2 迷惑受身(間接受身)

 受身文はその意味と文型から直接受身間接受身に分けられます。説明するとここに書ききれないので簡単に言うと、間接受身は対応する能動文と補語の数が異なるという文法的特徴があります。(なぜなら間接受身はある事態の実現によって迷惑を受ける存在を文中に明示する一方、それに対応する能動文はある事態が実現することだけを描写し、迷惑を受ける存在を文中で明示しないからです。)

 各選択肢を能動文に直してみて、補語の数が一致するかどうか見てみましょう。一致する場合は直接受身、しない場合は間接受身です。なお、能動文に直す前に省略されている補語を補ってから対応する能動文に直すようにしましょう。

選択肢1

 【受身文】(私が) 先生に 掃除を 頼まれる (補語3つ)
 【能動文】先生が (私に) 掃除を 頼む   (補語3つ)

 受身文には「私が」などの被動作主が明示されていないのでまずこれを補完します。そのあとに対応する能動文を見ると、いずれも補語が3つで一致していました。この受身文は直接受身です。

選択肢2

 【受身文】夫が 知人に 批判される (補語2つ)
 【能動文】知人が 夫を 批判する  (補語2つ)

 受身文と対応する能動文の補語はいずれも2つで一致しているので直接受身。

選択肢3

 【受身文】(私が) 花子に 先に 就職される (補語3つ)
 【能動文】花子が 先に 就職する       (補語2つ)

 受身文には「私が」などの被動作主が省略されているのでこれを補完し、対応する能動文を作ります。受身文の補語は「私が」「花子に」「先に」の3つだったのに対し、対応する能動文では「花子が」「先に」の2つしか現れません。補語の数が一致しないので間接受身で、これが答え。

 なぜ補語が一致しないのかというと…
 この受身文は「花子が先に就職する」という独立した一つの事態と「それによって私が被害を受ける」というまた独立した一つの事態、あわせて2つの事態を描写しています。「花子が先に就職する」という事態の登場人物は「花子」だけですが、2つの事態を同時に描写した「私が花子に先に就職される」の登場人物は「花子」と「私」の2人。1つの事態だけを描写した能動文の登場人物は1人だけ、でも2つの事態を同時に描写した受身文の登場人物は2人。描写する事態の数が異なれば登場人物の数も異なるので、それが文中の補語の数に現れ、補語が一致しない文法的特徴が現れます。

選択肢4

 【受身文】(私が) 若者から 席を 譲られる (補語3つ)
 【能動文】若者が 私に 席を 譲る      (補語3つ)

 受身文で省略されている「私が」などの被動作主を補って能動文を作ると、どちらも補語が3つで一致するので直接受身です。

 したがって答えは3です。

問3 自動詞

 自動詞とは、対象の「を」をとらない動詞のこと。

選択肢1

 この選択肢は対応する自動詞がない他動詞の関する記述です。
 例えば、他動詞「認める」はそれに意味的、形態的に対応する自動詞が存在しません。ところが「認められる」というように受身形にすると実質的に自動詞として機能させることが可能です。

 (1) 私が 彼の有給を 認めた。 (他動詞)
 (2) 彼の有給が 認められた。  (自動詞)

 (1)のように「認める」で使う場合は対象の「を」が現れるので他動詞ですが、受身形「認められる」を使うと対象の「を」が現れず、自動詞となります。自動詞に関連する記述として正しいので適当。

選択肢2

 自動詞は事態が自動で生じることを表すと覚えている人がいる場合、それは間違いです。そう覚えている人は自動詞は全て無意志的だと思ってしまうかもしれません。正しくは対象をとらずに主体自身が動作したり、主体が変化したり、主体の状態を表したりする動詞が自動詞です。自動詞には意志的自動詞と無意志的自動詞があります。

 (3) 雨が降る。  (無意志的自動詞)
 (4) 私が橋を渡る。(意志的自動詞)

 その動詞が意志的かどうかを判定するには「~つもりだ」をつけられるかどうかを用いればいいです。(3)の動詞「降る」は「降るつもりだ」ということができないので無意志的で、しかも「降る」はその文型に「を」が現れないので自動詞。
 「渡る」は「渡るつもりだ」と言えるので意志的ですが、この場合の「を」は対象ではなく経路を表すので他動詞ではなく自動詞です。
 自動詞には意志的なものもあるし、非意志的なものもあるからこの選択肢は適当。

選択肢3

 「対応する他動詞を持つ自動詞」とは、自動詞「あく」と他動詞「あける」のようにお互いに意味的、形態的に対応する動詞を持つ組み合わせにおける、その自動詞「あく」のほうを指します。これは「ドアがあく」「門があく」などと主体「ドア」の変化を表すのでこの記述は正しいです。

選択肢4

 「対応する他動詞を持つ自動詞」は選択肢3で挙げた「あく」以外にもたくさんあって、たとえば「増える、見つかる、戻る、届く、壊れる、消える」など。これらの語幹と活用語尾を見てみましょう。とそのまえに語幹と活用語尾を調べる方法を知らないとこの問題は解けないです。適当にたくさん活用させてみて、変わらない部分は語幹、変わる部分は活用語尾です。

 語幹 – 活用語尾
 ak – anai
 ak – imasu
 ak – u
 ak – eba

 上で挙げた動詞の語幹と活用語尾を見てみましょう。

対応する他動詞を持つ自動詞 語幹 活用語尾
あく ak u
増える hue ru
見つかる mitukar u
戻る modor u
届く todok u
壊れる koware ru
消える kie ru

 問題文が言っている「語末の形態」は活用語尾のことですが、活用語尾に「-asu」は一つも現れていません。「-asu」が現れるのは「散る(tir-u)」に対する「散らす(tir-asu)」などで使役短縮形に現れる形式です。この選択肢は間違い。

 したがって答えは4です。

問4 文法カテゴリー

 文法カテゴリーとして覚えておきたいのは、ヴォイス、アスペクト、テンス、モダリティ。日本語ではこの順番に述語に接続します。

 (1) この部屋では、ペットが飼われていたはずだ
     kaw- are – tei – ta – hazuda
     動詞 – ヴォイス – アスペクト – テンス – モダリティ

 ヴォイスは動詞の形態が変わると格関係も変わるような形式のことで、受身の「られる」、使役の「させる」などが代表的なヴォイス形式です。アスペクトは述語が表す動きの局面を表す形式です。「~するところ」をつけると動作の開始直前の局面、「~ている」をつけると動作の進行中の局面、「~し終わる」をつけると動作の完了の局面を表します。これらがアスペクト表現です。テンスは時制。日本語では非過去を「る」で、過去を「た」で表します。モダリティは話し手の心的態度を表す形式です。
 (1)では「飼われる」という事態が発話時よりも過去のある時点で進行中だったことに対して、話し手が主観的な断定をくだすことを表しています。

選択肢1

 「本を読めば」にヴォイス、アスペクト、テンス、モダリティをつけてみましょう。

 〇本を読まれれば  (+ヴォイス「られる」)
 〇本を読んでいれば (+アスペクト「ている」)
 ✕本を読んだれば  (+テンス「た」)
 ✕本を読むはずれば (+モダリティ「はず」)

 レバ節にはヴォイスとアスペクト形式が接続できます。なのでこの選択肢は間違い。

選択肢2

 「本を読みながら」にヴォイス、アスペクト、テンス、モダリティをつけてみましょう。

 〇本を読まれながら  (+ヴォイス「られる」)
 〇本を読んでいながら (+アスペクト「ている」) ※付帯状況を表さず、逆接を表す
 ✕本を読んだながら  (+テンス「た」)
 ✕本を読むはずながら (+モダリティ「はず」)

 「本を読みながら」にはヴォイスとアスペクトが接続できましたが、アスペクト形式「ている」を接続した「本を読んでいながら」は付帯状況を表さなくなっています。付帯状況とは、ある動作をしながら別の動作をする「テレビを見ながらご飯を食べる」みたいなやつ。でも「本を読んでいながら」は「本を読んでいながらテストで点数を取れなかった」のような場面で使われ、付帯状況ではなく逆接(=しかし)を表すようになっています。選択肢には「付帯状況のナガラ節」とあります通り、これにはヴォイスしか接続できないようです。この選択肢が答え。

選択肢3

 「読ませていただろう」を形態素に分けると次のようになります。

 yom – ase – tei – ta – darou
 動詞 – ヴォイス – アスペクト - テンス -モダリティ

 「-ase-」が使役形態素でヴォイス形式、「-tei-」が進行中を表すアスペクト形式、「-ta-」が過去時制を表すテンス形式、「-darou」が話し手の主観を表すモダリティ形式です。日本語ではこれらは常にこの順で後続します。モダリティ形式がヴォイス形式に先行することはありません。この選択肢は間違い。
 もしモダリティ形式がヴォイス形式に先行したら「読むだろうらせていた」みたいになっちゃう。

選択肢4

 選択肢3と同じく、テンス形式はヴォイス形式に先行することはありません。
 もし先行したら「読んだらせていだろう」みたいになっちゃう。

 よって答えは2です。

問5 主語と視点

選択肢1

 (1) 田中は私の友人でしたが、彼は今どこにいるか分からない。

 「田中は私の友人でしたが」における主語「田中は」は新情報を提示している主語の例として適当ですが、「彼は今どこにいるか分からない」の主語「彼は」は新情報でもなんでもなく、先行文脈の「田中は」を指示しているだけです。主語は必ず新情報を提示するといっているこの選択肢は間違い。正しくは、主語は新情報を提示する場合もあるしそうでない場合もある、です。

選択肢2

 (2) 積もった雪が事故を誘発した。  (無生物主語)
 (3) 事故は積もった雪によって起きた。

 (2)のように事態を引き起こす原因「積もった雪」を主語にすることもできますが、「事故は積もった雪によって起きた」と主体を主題化して言い換えることもできます。無生物主語が原因の場合でも主語にならない表現がありますからこの選択肢は間違い。

選択肢3

 (4) 私は 彼女に 日記を 見られたんです。 (話し手にとって迷惑なことを話し手視点から述べる)
 (5) 彼女が 私の日記を 見たんです。    (話し手にとって迷惑なことを聞き手視点から述べる)

 彼女が私の日記を見たことをことばで表現する場合は(4)(5)のような言い方がありますが、被害を受けたのが話し手の場合、話し手視点で物事を描写した(4)のほうが好んで言われます。(5)も文法的には間違いではないですが、語用論的には誤りと言えるでしょう。聞き手視点から述べられるのは間違いなのでこの選択肢は間違い。

選択肢4

 (6) 私の弟はクラスメートからいじめられている。
 (7) 弟のクラスメートは弟をいじめている。

 例えば、自分の弟が弟のクラスメートからいじめられているという状況では(6)のように言うことが多いでしょう。(7)のように言うのは文法的に間違いではないですが、文脈が整わなければこのように言いにくいです。話し手にとって「弟」と「弟のクラスメート」は「弟」のほうがより身近な存在であって、そちらに視点を置いて物事を述べることが一般的です。

 したがって答えは4です。




コメント

コメント一覧 (19件)

  • 問4の「ながら」はマス形になるのは理解できたのですが、それがヴォイスとどう関係あるのかが理解できませんでした…。
    ヴォイスは読まれる・読ませる・読めるという形態が変化しますよね?
    「本を読ませながら~」と変化するということでしょうか?

    • >ジンミさん
      ヴォイス形式とは、動詞の活用によって文全体の格関係が変わる文法形式のことです。おっしゃる通り、読まれる・読ませる・読めるなどはヴォイスと深い関係があります。
      例えば受動態「私は先生に叱られた」に対する能動態は「先生は私を叱った」です。この能動態もヴォイス形式に含まれます。
      「ながら」は必ず動詞のマス形にしか接続しない文法です。動詞のマス形、例えば「読み(能動態)」「読ませ(使役態)」「読まれ(受動態)」などは、動作の時系列(アスペクト)を表しているわけでもなく、時制(テンス)を表しているわけでもありません。つまりヴォイス形式です。
      なのでナガラ節にはヴォイス形式のみ接続できるということになっています。

  • 管理人様

    いつもサイトの解説を読ませていただいています。独学で試験対策をしていますので、大変勉強になります。ありがとうございます。
    今年こそは合格したいと思っております…。
    どうぞ、お体には気をつけてください。これからもよろしくお願いします。

    • >高橋さん
      解説にも誤字や間違いがあるかもしれませんので、お気づきの点、または何か疑問点ありましたらコメントください!

  • 問2の間接受身について質問させてください。
    対応する能動文の有無について、表で説明されていますが、
    「若者から席を譲られた」の能動文が「若者は(私に)席を譲った」であるのに対し、
    「花子に先に就職された」は能動文が「-(無し)」という解説になっています。
    なぜ、「花子に先に就職された」の能動文が「花子は(私よりも)先に就職した」にならないのでしょうか?
    「(私は)若者から席を譲られた」⇒「若者は(私に)席を譲った」(〇)
    「(私は)花子に先に就職された」⇒「花子は(私よりも)先に就職した」(×)
    この違いが判りません。解説をよろしくお願いいたします。

    • >ヒロシさん
      コメントありがとうございます。お答えします!

      「花子に先に就職された」の動作の受け手は「私」ですので、実は「(私は)花子に先に就職された」という具合に「私は」が省略されています。
      これを能動文に直そうとすると、「花子は先に就職した」の中に「私」を組み込むことができません。ですから対応する能動文がない間接受身文に分類されます。

      ご指摘の文は「花子は(私より)先に就職した」ですが、ヨリ格を使って無理やり組み込むのは反則です。
      他動詞「就職する」はその動作の対象、動作の受身にヲ格やニ格を取ります。この場合「A会社に就職する」のようなニ格です。
      ですから能動文を作るときは「私を」か「私に」を文のどこかに挿入する必要があります。これが「私より」がダメな理由です。

      こうして無理やり能動文を作るのはよくある間違いですのでご注意ください!
      能動文の作り方については「日本語の受身文、受動文の種類について(http://nihongonosensei.net/?p=10091)」に詳しくまとめています。このヨリ格のことについても書かれているので、ぜひ参考にしてください。

  • 先生へ
    いつもありがとうございます。
    問4 1時間もかかってもこの問題解けなかったです。本を読みながらが能動文!って思いつきませんでした。
    文法の基本的なところが分かりません。
    レバ節 ながら節とか他にも〜節とかあるのでしょうか?まず、レバ節とは、副詞節の条件節の中の〜レバがつくものを言うのでしょうか。
    また、付帯状況のながら節とは、副詞節の様態節のことでしょうか。
    試験Ⅲ問題1から3は、ほんとに心折れます。捨てると他でも点取れそうにないし、苦しいです。

    • >塩饅頭さん
      従属節には副詞節というものがありまして、その下位分類に条件節があります。条件節の中に「レバ節」があります…
      副詞節の下位分類に様態節があり、様態節の更に下位分類に付帯状況節があります。付帯状況節の代表的なものが「~ながら」「~つつ」で、それぞれナガラ節、ツツ節と呼ばれたりします!
      従属節の分類はすごく複雑です。

  • 高橋先生
    いつもありがとうございます。
    受身の泥沼にはまっております。

    問2 「夫が知人に批判されて、悲しかった。」
    を、能動文にすると「知人は夫を批判した」になりますが、「私」はどこにどう入りますか。
    この文を読んだとき、このシチュエーションは何か集まりがあって、そこで知人が私の夫のことを批判した様を思い浮かべました。
    でも、そうではなくて私に夫の批判をした、という解釈になるのでしょうか。
    でもそうなると、能動文は「知人は私に夫の批判をした」となり、他動詞文にならなくなります。
    昨日よりずーっとここから先に進めないでいます…

    • >きぼちゃんさん
      こんにちは!
      こんにちは! 毎日のんびり日本語教師の高橋です。お答えします。

      受身の文には、動作をする人と、その動作を受ける人、二人がいないといけません。
      「夫が知人に批判された」は、動作する人「知人」、動作を受ける人「夫」の二人が既に登場しています。この文に省略されているものはありませんから「私」を補完する必要はないんです。
      ですからそのまま能動文に変換しました。

      選択肢1「先生に掃除を頼まれた」は、頼むという動作主が「先生」ですが、誰に頼んだか書かれていません。ですから解説で「私」を補完しています。

      無いものを補完するというのは重要なことですが、省略されているものが無ければそのままにして大丈夫です。

      • 高橋先生
        お忙しい中、お答えいただき感激です。
        昨年、あと数点足りず検定不合格でした。
        今年2回目の挑戦ですが、殆ど忘れてしまい自分のアホさ加減にへこたれそうです。(へこたれって方言ですかね)(≧∇≦)
        文法は正解がないような、そんな気さえして来ました( ´Д`)y
        つい楽な方へ気持ちが動き、目標を見失いがちですが頑張りたいと思います。
        今後もよろしくお願い致します!

  • 試験対策に、いつも活用させていただいております。ありがとうございます。

    問四についてなのですが、「~ながら」はヴォイスしか接続できないとのことなのですが、
    「本を読みかけながら、寝てしまった。」という文を考えたときに、「〜かけ」というのはアスペクトであると考えることはできないのでしょうか?それともこれは不自然な文なのか・・はたまた私のアスペクトの認識が誤っているのか、付帯状況の「~ながら」の認識が間違っているのか・・・

    どうか教えていただきたいです!お願いいたします。

    • >かいおさん
      コメントありがとうございます。
      動作の途中の「~かけ」はアスペクト表現です。なのでおっしゃる通り「読みかけながら、寝てしまった」が成立する文なのかが争点になりそうです。
      私はこの「ながら」は付帯状況よりも逆接に聞こえてしまって少し変な感じがしていますが、同時に他の方のご意見も伺いたいと思いました。
      仮に文として成立するなら選択肢2はくつがえりますね。

      • ご返信感謝いたします。
        そして何度も申し訳ありません、当方でコーパスやグーグルでもアスペクト+ながらを検索して見たのですが、結構ヒットしました。

        たとえば、「…たるに腰を下ろして、パイプにたばこをつめはじめながら仲間に言った。」や
        「…暗い顔になりはじめながら」などもヒットしました。

        • >かいおさん
          そうですね!「書き始めながら」を検索してみると15000程度のヒットでした。
          少ないは少ないですが使われていないとはいえなさそうですね。

          ただ疑問は、「~ながら」は付帯状況なので前後の動作に時間的な幅がある必要がありそうです。
          「書き始める」は「書く」という動作の開始局面を取り上げるアスペクト表現なので、「書き始める」という動作局面自体に動作の時間的な幅があまり感じられません。「書き始め」は一瞬の出来事だからだと思います。用例はありますが、もしかしたら文法に反する接続ではないでしょうか。
          すいません、こちらは私の意見です。しかし有益なコメントをいただきまして感謝いたします。
          解説のほうに「書き始めながら」の存在を書いておきたいと思います。

    • よく考えたらこの例文はおかしいかも・・・?

      ほかには、「トピックが決まらないなら、書き始めながら考えをまとめていく。」とか。。。はどうでしょうか。

  • 高橋先生、いつもありがとうございます。
    令和元年の試験三の問題1の問題4の選択肢2ですが、解説に誤りがあります。ご確認お願いします。

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