6月8日(土)から音声学の短期講座がはじまります。

能動態とは?

能動態(active voice)

 日本語において、動詞の辞書形(基本形)が述語に置かれる構文は、述語の事態を引き起こす動作主をガ格で主語の位置に置き、動作主が引き起こした動作によって影響が及ぶ被動作主を目的語の位置に置きます。この構文は述語が表す事態に関与する存在のうち、動作主を中心をとして事態を述べようとする最も基本的な構文です。次の例文を見てください。

 (1) 私が 納豆を 食べる。
 (2) 彼が 音楽を 聴く。

 (1)は述語「食べる」という事態を成立させる動作主「私」がガ格で主語の位置に置かれ、その被動作主「納豆」がヲ格で目的語の位置に置かれています。(2)でも同様です。このように動詞の辞書形を用い、動作主を主語、被動作主を目的語の位置に置く最も基本的な無標能動態(active voice)といい、能動態の文を能動文と言います。能動文は述語の動詞が表す動きの主体を主語に据えた文で、動作主が引き起こした動作が被動作主に影響を与えることを表し、他のヴォイスに比べて事態の中立的な叙述ができます。

参考文献

 斎藤純男・田口善久・西村義樹編(2015)『明解言語学辞典』17頁.三省堂
 寺村秀夫(1982)『日本語のシンタクスと意味Ⅰ』205-302頁.くろしお出版
 日本語記述文法研究会(2009)『現代日本語文法2 第3部格と構文 第4部ヴォイス』207-212頁.くろしお出版




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