6月8日(土)から音声学の短期講座がはじまります。

派生とは?

派生(derivation)

 派生(derivation)とは、合成の一種で、付与が非義務的な接辞を付与することによって、ある語彙から別の語彙を作ることです。例えば、「無気力」のように、単独で使える自由形態素「気力」に単独で使えない拘束形態素「無」のような接辞を付与し、「無気力」という別の語彙が作り出される過程を指します。このときの接頭辞「無」の付与は義務的ではありません。接辞がなくとも「気力」という語が成り立ち、単独で使うことができます。このように派生で用いられる接辞派生接辞(derivational affix)と言い、派生接辞を付与して作られた語を派生語(Derivatives)と言います。
 また、派生接辞は基本的に自由形態素の品詞を変えます。

 (1) 気力 (mu-kiryoku)
 (2) 客  (o-kyaku)
 (3) 可能 (kanou-sei)

 ※接辞の付与に関して、派生は非義務的、屈折は文法的な要請によって義務的
 ※派生は全く別の語を作り、屈折は1つの語の語形変化を指す

参考文献

 漆原朗子(2016)『朝倉日英対照言語学シリーズ4 形態論』朝倉書店
 斎藤純男(2010)『言語学入門』61-63頁.三省堂
 斎藤純男,田口善久,西村義樹編(2015)『明解言語学辞典』133-134頁.三省堂
 リンゼイ J.ウェイリー,大堀壽夫ら訳(2006)『言語類型論入門-言語の普遍性と多様性』117-124頁.岩波書店




コメント

コメントする