かぶせ接辞(suprafix)
convíct(有罪宣告する)と cónvict(受刑者)のように、英語では強勢の位置を変えることで品詞を区別する現象が見られます。この強勢の移動は語の品詞転換をする点で接辞の付与と似た機能を持っています。こうした強勢の位置の移動をかぶせ接辞(suprafix)、あるいは超分節接辞と呼びます。以下のように、英語の動詞は第二音節から第一音節へと強勢を移すことで名詞化されます。
動詞 | 名詞 |
---|---|
convíct /kənvíkt/(有罪宣告する) | cónvict /kάnvɪkt/(受刑者) |
convért /kənvˈɚːt/(転換・転向する) | cónvert /kάnvɚːt/(改宗者) |
rejéct /rɪdʒékt/(拒絶する) | réject /ríːdʒekt/(拒絶) |
pervért /pɚvˈɚːt/(曲解する) | pérvert /pˈɚːvɚːt/(曲解) |
※リンゼイ J.ウェイリー(2006: 122)
参考文献
漆原朗子(2016)『朝倉日英対照言語学シリーズ4 形態論』朝倉書店
斎藤純男(2010)『言語学入門』61-63頁.三省堂
斎藤純男,田口善久,西村義樹編(2015)『明解言語学辞典』133-134頁.三省堂
リンゼイ J.ウェイリー,大堀壽夫ら訳(2006)『言語類型論入門-言語の普遍性と多様性』117-124頁.岩波書店
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