平成27年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題1(14)解説
(14)取り立ての対象
問題文の下線部は全て極限を表す取り立て助詞です。極限とは、同類の要素の中で極端な例を示すこと。例えば「水さえ飲めない」だったら、最も簡単なもの(極限に位置するもの)としての「水」が飲めないことを表します。水が飲めないんだったら、コーヒーもコーラも飲めないみたいな意味を暗示します。
この極限の取り立て助詞は、程度が低いほうの極限もあるし、程度が高いほうの極限もあります。
1 「微動」は程度が低いほう → 「微動」のように最低限のことも起きない
2 「出血」は程度が低いほう → 「出血」のように最低限のことも起きない
3 「入賞」は程度が低いほう → 「入賞」のように最低限のこともできない
4 「想像」は程度が低いほう → 「想像」のように最低限のこともできない
5 「監督していた教員」は程度が高いほう
選択肢5だけ程度が高いほうの極限を表しています。「監督していた教員」は最低限の存在ではありません。「監督していた教員」ができなければ、その下にいる一般の教員、学生は当然できないよねって意味を暗示しています。
したがって答えは5です。
コメント
コメント一覧 (3件)
1わずかに動く、2少し出血する、3入賞する、4想像する・・・1~4はそれらの動詞(述語)に対し、そのことすらできなかった、しなかった、と述べています。
1武道の達人、2私、3当時の日本チーム、4(裏切られたAさん?)・・・という主語にたいし、それですら、と言っているのではありません。でも5は「事故を防ぐことができる」(述語)ことすらなかった、といってるのではなく「教員」(主語)でさえ、できなかった、ということなので、対象が、「主語」か「述語」か、という違いなのだと思います。
>町川さん
度々ありがとうございます。
確かにそうですね。1~4は動詞に係り、5は名詞に係っているということですね!
すっきりできる解説いただきありがとうございました。そのように内容を修正いたします。
確かに他の観点から見ると前述コメントにありますように、5番は名詞に掛かっていると思います。ただその他に、出血しない、入賞しない、想像しない、1番の微動だにするだけ、微動だにしないのように、「だに」が付くのがポピュラーなので勘違いしてしまいました。
微動だにさえしないというのは間違った使い方なんでしょうか、よく使ってました。