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「お~する」は接周辞か?

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日本語Q&A

質問者さん
(日本)

お~する」「お~にする」は接周辞だという話を聞きました。
日本語の接周辞は珍しいですね。

管理人

接周辞じゃなくて、呼応と呼ぶべきものかもしれません。
なぜなら「する」は拘束形態素じゃないから。

接周辞じゃなくて呼応かも

 そもそも接辞は、必ず語基自由形態素)について現れ、単独で使うことができない拘束形態素です。例えば「お-皿」の「お」は後続する語基「皿」について現れてますし、「お」だけで単独で使うことはできません。「綺麗-さ」の「さ」もそうです。接辞は語基に対する位置によって名前が違うんですが、いずれにしても語基に接辞がついた形は一語と認識されます。「お皿」も「綺麗さ」もまぎれもなく一語です。そして、仮に「お~する」が接周辞だとすれば「お持ちする」なども一語だということになりますが、その場合不都合が生じます。

     接周辞 + 語基 + 接周辞?
 (1) お     持ち   する
 (2) お     持ち は する  <取り立て助詞「は」が挿入できる>
 (3) お     持ち   しない <「する」が活用している>

 「お持ちする」は「お持ち」と「する」の間に取り立て助詞「は」や「も」が挿入可能です。普通一語とみなされる語には、その中間に何か別の形式が入ることはありません。「は」などが挿入可能ということは「お持ち」で一語、「する」で一語であることを示唆します。また、「する」はどう見ても「しない」「して」などと活用して単独で動詞として用いることができ、拘束形態素ではありません。「する」には接辞の大前提である拘束形態素としての特徴が見られませんから接辞とみなすにはちょっと厳しい

 「お~する」の「お」は接頭辞と呼んでいいと思います。でも「する」は接辞ではなく、「お」に呼応してると考えるのがいいのでは… ただし、呼応は「~も~ない」みたいに助詞に対して呼応したり、「全然~ない」みたいに副詞に対して呼応するのが一般的です。「お~する」を呼応とみなした場合は、接辞に対して呼応することになるのでこの点でもちょっと特別なんですが。

 (4) 持つ
 (5) 社長が荷物をお持ちだ。 (尊敬語)  
 (6) 私が荷物をお持ちする。 (謙譲語Ⅰ)

 「持つ」の連用形に接頭辞「お」をつけて「お持ち」にすると、この形式では(5)のように尊敬語になります。「お持ち」自体を「なる」ニ格としてとって「お持ちになる」と言っても同じく尊敬語です。
 ただし、「お持ち」に「する」を”呼応”させた場合、(6)のように謙譲語Ⅰになります。そういう意味ではこの「する」は尊敬語と謙譲語Ⅰを分ける形式と言えるかもしれません。

参考文献

 漆原朗子(2016)『朝倉日英対照言語学シリーズ4 形態論』142頁.朝倉書店




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