日本語Q&A
質問者さん(中国)
管理人
「よごれ(汚れ)」について
「汚れ(よごれ)」は動詞「汚れる(よごれる)」の連用形で、名詞として用います。基本的には物理的に清潔ではない状態を引き起こすもととなるものを指すので、例文(1)~(4)のように目に見える物理的に汚いものを表すのに用います。ただし、例文(5)のように比喩的に用いることも可能です。
(1) 白い服はよごれが目立つ。
白色衣服污渍很显眼。
Stains are very noticeable on white clothes.
(2) この商品は中古ですが、汚れや折れはございません。
这个商品是二手的,但没有污渍或折痕。
This product is second-hand, but it has no stains or creases.
(3) 酵素の力で洗顔では落としにくい毛穴の汚れをスッキリ落とす。
通过酶的作用,轻松清除洗脸时难以去除的毛孔污垢。
The power of enzymes removes pore dirt that is hard to clean with facial washing.
(4) 排水溝のヌメリや汚れを掃除すると気持ちいい。
清理排水口的黏滑和污垢让人感觉很舒服。
Cleaning the slime and grime in the drain feels satisfying.
(5) 学問は心の汚れを清める。
学问能净化心灵的污秽。
Learning purifies the stains of the heart.
「けがれ(汚れ、穢れ)」について
名詞「けがれ」は動詞「汚れる/穢れる(けがれる)」の連用形にあたります。「穢」は常用漢字ではないんですが、「汚れ」と書くと「よごれ」とも「けがれ」とも読めるのでやや紛らわしく、そのためか「穢れ」や「けがれ」と書かれることもまあまああります。意味としては、正しさや神聖さ、抽象的な清潔さが損なわれていることを表します。
(6) 赤ちゃんは人間社会の穢れを知らないので純粋です。
婴儿因为不了解人类社会的污秽,所以很纯洁。
Babies are pure because they are unaware of the impurities of human society.
(7) 仏教では「死」を穢れと捉えない。
在佛教中,“死亡”并不被视为污秽。
In Buddhism, death is not regarded as impure.
(8) 神社でこの1年のけがれを祓っていただきました。
在神社驱除了这一年来的污秽。
I had the impurities of the past year cleansed at a shrine.
(9) 純血主義者たちはマグル生まれを「穢れた血」と呼ぶ。
纯血主义者称麻瓜出身者为“污秽的血统”。
Pure-blood supremacists call those born of Muggles “tainted blood.”
(10) 娘には世の中のけがれを知らずにそのまま生きててほしい。
希望女儿能够不知世间的污秽,就这样纯真地生活下去。
I want my daughter to live on without knowing the impurities of the world.
まとめ
「けがれ」は「よごれ」とは違って物理的な汚さを表すことは難しいので(11b)のように物理的な汚さには使えません。「よごれ」は比喩的に(5)のように抽象的なものにも使えますが、抽象的な汚さならなんでも使えるわけではなく、(12a)の文脈だと不自然です。
(11)a この服はよごれが目立つ。
b ?この服はけがれが目立つ。
(12)a ?神社で今年1年のよごれを落とす。
神社で今年1年のけがれを落とす。
参考文献
北原保雄(2010)『明鏡国語辞典 第二版』大修館書店
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