令和6年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題7解説

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令和6年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題7解説

問1 プロジェクトワーク

 プロジェクトワークとは、学級新聞や学内マップを作ったり、学園祭で模擬店を出したり、アンケート調査を行って発表したり、あるいはクラスの修学旅行を計画・実行したりと、コミュニケーション・スキルを向上させることを目的とした教室外で実社会とかかわることができる現実的な活動のことです。

 1 シミュレーションの記述
 2 ディベートの記述
 3 再話の記述
 4 プロジェクトワークの記述

 答えは4です。

問2 行動心理学

 従来の文型シラバスにもとづく日本語教育だと、文型を簡単なものから難しいものに向かって順番に扱っていくような授業をします。こういう授業だと文型に焦点を当てることになるので機械的な練習が増え、実際のコミュニケーション能力は身につきにくいです。これが下線部Bの問題意識。しかしプロジェクトワークのように実社会とかかわる現実的な活動を行うことで、その活動の中で本物の日本人とコミュニケーションをとる機会を得られたり、資料をまとめるときに書いたり読んだりしたりといろんな技能が育てられます。

 1 従来の言語教育は学習項目が難易度順に並んでいるのでこの選択肢は間違い。
 2 これが答え
 3 従来の言語教育は学習者の人数やレベルに合わせて授業をするのでこの選択肢は間違い。
 4 従来の言語教育は文法的、音声的な正確さに焦点を当てるのでこの指摘はあたりません。

 答えは2です。

問3 エンゲージメント

 エンゲージメント(engagement)とは、何かに対する活力や熱意に溢れた、持続的で長期的なポジティブな心理状態のことを指します。いろんな分野に用いられる用語ですが、この問題では第二言語習得研究の動機づけのような意味合いで用いています。現実的な活動をするプロジェクトワークでは、学習者の興味にあったタスクを課すことができれば学習者が興味が持てるようになり、積極的に参加する状況を作り出せます。それをここでは学習者のエンゲージメントと呼んでいます。

 1 ???
 2 学習ストラテジーの記述かな?
 3 これがエンゲージメント
 4 エンゲージメントは持続的なものなので、「状況によって」というのが間違い

 答えは3です。

 《参考文献》
 神田正樹(2023)『マーケティングにおけるエンゲージメント ―市場形成に向けた価値の共創―』同文舘出版

問4 初級レベルでの実践

 プロジェクトワークは実社会と関係をもつ活動なので、文章中にもあるように通常は中上級レベルくらいの学習者じゃないとできないんですが、初級レベルでもできる方法があるらしいです。

 1 大規模だと初級レベルにはきついと思う。図表も日本語で作るの大変そう。
 2 一つの技能だけにしぼった活動をすれば初級でもなんとかできるかもしれませんね。
 3 初級レベルなのに興味があるからといってタスクを中上級にしたらできなくなっちゃいます
 4 一部の活動を省略すると現実的な活動でなくなってしまうのでプロジェクトワークじゃなくなります

 答えは2です。

問5 留意すべき点

 プロジェクトワークでレベルによって留意すべき点は問4で解説しましたが、レベルによらず留意すべき点もあるとのこと。

選択肢1

 学習者が困ったときに教師が直接助けるんではなくて、その困った事態を自分で解決できるようなストラテジーを使わせるような支援を行うことは良いです。

選択肢2

 プロジェクトワークは目的・目標があるので、その目的・目標を意識させるために繰り返し問いかけるのはいいと思います。

選択肢3

 そのコースで学ぶことがあらかじめ決められているシラバスを先行シラバスと言います。プロジェクトワークでは何をやるかはみんなで決めるので後行シラバスです。この選択肢は間違い。

選択肢4

 学習者が興味を持てる内容をタスクにしてプロジェクトワークを行えば、それだけ学習者の意欲を高められます。これは正しい。

 答えは3です。




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