ディベート(debate)
ディベート(debate)とは、「移民を受け入れるべきである」「結婚前の同棲に賛成か反対か」などの肯定派と否定派(賛成派と反対派)に立場を分けられるテーマについて議論し、相手側よりも優れた意見を述べる活動のことです。活動中に振り分けられた立場を覆して意見を変えることは許されず、一貫して与えられた立場で意見を述べることが求められます。
ディベートはおよそ次のような手順で行います。
①テーマを提示する。 | 提示するテーマはディベートの盛り上がりに直結するので、できれば学習者が興味を持てるものだったり、経験したことがあるものを採用したほうがいいです。 |
②肯定派と否定派に分ける。 | 肯定派か否定派かを決める際は本人の意見を尊重せず、機械的にクラスを半分に分けて決めます。その際、肯定派と否定派が同じ人数になるようにします。 |
③4人程度のグループに分割する。 | |
④各グループの対戦相手を決める。 | |
⑤ディベートの準備をさせる。 | ディベート開始に先立って、テーマについてグループで準備させる時間を設けます。自分の立場を支える意見やデータ収集、またその根拠を考えたり、相手側の反論を想定してさらにそれに対する反論を用意したりします。 |
⑥勝敗を決める判定者を決める。 | ディベートは勝敗を決める活動でもあるので、どちらが相手を言い負かしたかを判定する判定者を決めておきます。ディベートには参加しない学習者がその役割を担うのが普通です。 |
⑦ディベート開始 ⅰ肯定側の意見 ⅱ否定側の意見 ⅲ肯定側からの反論 ⅳ否定側からの反論 ⅴ自由意見 |
ディベートには司会が必要です。肯定派と否定派の意見及び反論には制限時間を設け、時間的な平等を保たなければいけません。そうした管理をする司会は教師が行うこともあれば、その他の学習者に行わせることもあります。 |
⑧他の学習者に勝敗を決めさせる。 | 多数決で決めます。 |
⑨先生からの評価 | ディベート中は学習者が何らかの誤用を産出しても、教師はいったん流れを止めて訂正することはしません。訂正フィードバックやディベート全体の評価は⑨の段階でまとめて行います。 |
ディベートで用いる文型
ディベートをはじめて行う場合は、自分の意見を述べたり、賛成・反対の立場を表明したり、相手の意見に反論するときに用いる文型をあらかじめ指導しておくと円滑に進みます。例えば以下のような表現は頻出します。
私の意見は~です。
理由は〇つあります。まず一つは…
なぜなら~だからです。
私は~と思います。
私は~に賛成/反対です。
私はそう思いません。
それは違います。
…
参考文献
金谷憲・阿野幸一・久保野雅史・高山・芳樹(2012)『大修館 英語授業ハンドブック 高校編』187-189頁.大修館書店
金谷憲・青野保・太田洋・馬場哲生・柳瀬陽介(2009)『大修館 英語授業ハンドブック 中学校編』188-190,276-278頁.大修館書店
田中望(1988)『日本語教育の方法―コース・デザインの実際』166-167頁.大修館書店
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