平成28年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題1(6)解説
(6)動詞の自他
自他って書いてるんで、対応する自他動詞に変えてみましょう。
1 走る(自) ⇔ 走らせる/走らす(他)
2 渡る(自) ⇔ 渡す(他)
3 通る(自) ⇔ 通す(他)
4 回る(自) ⇔ 回す(他)
5 移る(自) ⇔ 移す(他)
選択肢1だけ「走す」みたいな言い方がなく、対応する他動詞をどうしても使いたいなら使役形の「走らせる」、あるいは使役短縮形の「走らす」を用います。
要するにこの問題は、選択肢2~4は「~る」と「~す」で自他の対応していますが、1はそうではないってこと。自他動詞を導入するとき、この5つのうち「走る」はちょっと違うから一緒に導入しないほうがいいよって言ってます。
答えは1です。
コメント
コメント一覧 (2件)
対になる他動詞について、
「走る」は無対自動詞らしいのですが、「電気を走らす」「電気を通す」
のように他動詞「走らす」は実際には存在しているように思います。
日本国際教育支援協会の方は正解の根拠を示さず、このように受験者やブロガー様達の分析に頼らざるおえないのは、腑に落ちないところであります。
>ぽんちゃんさん
「走る」は確かに無対自動詞です。対応する他動詞はありません。しかしながら「走らせる」「走らす」のような言い方は存在していますね。これは日本語の面白い特徴によるものです。
「降る」を無理やり他動詞にすれば「降らせる」
「走る」を無理やり他動詞にすれば「走らせる」
「死ぬ」を無理やり他動詞にすれば「死なせる」
このように、対応する他動詞がない動詞は使役形にすることで対応する他動詞を生み出すことができます。
「殴る」を無理やり自動詞にすれば「殴らせる」
「忘れる」を無理やり自動詞にすれば「忘れられる」
「話す」を無理やり自動詞にすれば「話される」
逆に無対他動詞は受身形にすれば自動詞になります。
これらは使役形、受身形であるため、動詞の辞書形ではありません。ですから直接対応する自動詞、他動詞とは言えないのです。
「走らす」は「走らせる」の省略形ですからこれも同じです。
このようにして表現を補完しているのが日本語です。