ナチュラル・アプローチとは?

ナチュラル・アプローチ(Natural Approach)

 ナチュラル・アプローチ(Natural Approach)はクラッシェン(Krashen)とテレル(Terrell)によって開発された外国語教授法で、クラッシェンが提唱した第二言語習得に関する理論「モニターモデル」の五つの仮説を理論的根拠としています。ナチュラル・アプローチは具体的な指導法を掲げたものではありませんが、教師が指導にあたる際にとるべき行動や教育理念が示されています。

 ナチュラル・アプローチは目標言語を使って意思疎通できる能力を身につけることを目標としています。習得-学習仮説に基づくと、そのような能力は幼児が自然なコミュニケーションを通して身につく”習得した知識”であるとされているので、ナチュラル・アプローチを採用する授業では実際のコミュニケーション場面からシラバス場面シラバス話題シラバス機能シラバス…)が作られます。”学習した知識”を身につけるだけの文型練習などは行われません。

 インプット仮説はi+1の理解可能なインプットを多く与えることが習得を促すと仮定しているので、授業では自然習得順序にしたがって学習項目を大量に提示することを重視します。

 情意フィルター仮説に基づき、できるだけ学習者の負の情意要因を取り除こうとします。教師はそのために直接誤りを訂正したり、発話を強制したりせず、学習者が興味が持てるようなインプットを与えるなどの行動が求められます。初期段階では発話を強制しないので、「話す」「聞く」の指導は初期段階以降に行います。まずは「聞く」と「読む」の技能を育て、特に幼児の第一言語習得過程と同様に聴解を優先します。

参考文献

 川口義一(1998)「ナチュラル・アプローチ」『日本語教授法ワークショップ』130-150頁.凡人社
 高見澤孟(2016)『増補改訂版 新・はじめての日本語教育2 日本語教授法入門』166-168頁.アスク




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