場面シラバス(situational syllabus)
場面シラバス(situational syllabus)とは、言語を使う「場面」に焦点を当てて作られたシラバスのことです。例えば、日本に来たばかりの留学生はスーパーに行ったり、郵便局にいったり、銀行に行ったり、レストランでご飯を食べるなどの比較的利用頻度が高く、緊急性が高いコミュニケーション場面に直面します。このような場面をリストアップし、そこで必要な文型や語彙などを合わせたものが場面シラバスにあたります。このシラバスによって行われる授業は目前のコミュニケーションにすぐに対応できるようになるので、日本語ができずに生活に困っている学習者や短期的に旅行に行きたいなどのニーズを持った学習者向きです。
スーパーで
郵便局で
銀行で
レストランで
場面シラバスはすぐに役に立つので、学習者から教室で学んだことが教室外で役に立たないという不満を軽減できます。一方で、特定の場面で使う日本語を扱った結果、他の場面へ対応する応用性はつきにくいです。場面シラバスは緊急性が高い内容から教えていくことになりやすく、そうすると簡単なものから複雑なものへと配列することが難しくなることもあります。
参考文献
佐々木泰子(2007)『ベーシック日本語教育』121頁.ひつじ書房
田中望(1988)『日本語教育の方法―コース・デザインの実際』88-91頁.大修館書店
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