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令和5年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題11解説

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令和5年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題11解説

問1 インプット

 学習者が受け取るあらゆる情報インプットと言います。インプットの中から特定の情報に注目し、それが理解されて中間言語の中に取り込まれることをインテイクと言います。
 いずれも第二言語習得研究の用語です。似てるんですけど違います。

 1 ???
 2 インテイクの記述
 3 インプットの記述
 4 ???
 
 答えは3です。

問2 メンタル・レキシコン

 認知心理学の分野では、長期記憶の中に辞書のようなものがあり、そこに語彙が蓄えられていると考えられています。その頭の中にある辞書メンタル・レキシコンと言います。広辞苑とか新明解とかそういう紙の辞書とは違って、メンタル・レキシコンは五十音順に並んでいるわけではありません。語彙同士の関係によって結びついて配置されています。紙の辞書は更新できませんが、メンタル・レキシコンは常に新しい言葉を追加し、内容を変更したりできます。そして辞書に書かれているような意味よりももっと細かい知識が貯蔵されていると考えられています。

 1 この記述は正しいです。
 2 意味と言語形式の情報は区別されて蓄積されています。これは紙の辞書も同じです。見出しには言語形式、その下に意味が書かれていますよね。
 3 メンタル・レキシコンには音韻に関する情報も含まれます。例えば語彙のアクセントとかも。
 4 蓄積されている情報は自由に取り出せるかは別としてとっても詳しいと考えられています。

 答えは1です。

問3 ネットワーク構造

 問2の説明にもありました。メンタル・レキシコン(頭の中の辞書)に収録されている語彙は、五十音順並んでいるわけではありません。じゃあどう並んでいるかというと… 「長い」の近くには「短い」が、「果物」の近くには「りんご」が、「学生」の近くには「教師」が、みたいな感じで並んでます。語と語が何らかの関係で結びついている場合、それらは近いところに収録されていると考えられています。

 1 「ピンポン」と「卓球」は類義語だからメンタル・レキシコン内でも結びついてます。
 2 「ペン」と「鉛筆」は似てるものなんでメンタル・レキシコン内でも結びついてます。
 3 「朝」と「足」はさすがに関係なし。五十音順で並ぶって言ってるのも間違い。
 4 「好き」と「嫌い」は対義語だからちゃんと結びついてます。

 答えは3です。

問4 プライミング効果

 プライミング効果とは、人がプライム(先行刺激)の後にターゲット(後続刺激)を処理するとき、プライムとターゲットが意味的に関連しているとターゲットの処理が促進される現象のことです。例えば、「果物」と言われて「〇〇ご」に入る言葉は何?と聞かれたら、「りんご」とか「いちご」を思い浮かべると思います。恋人と長い時間一緒にいると恋人の癖などが自分にうつったりしませんか? 何気なくみたCMの商品とか誰かが食べたり飲んだりしてるもの、そのあとに買ったりしてませんか? 無意識でやってて気づいてないかもしれませんが、このように先に与えられた刺激がその後の処理に影響を与えることをプライミング効果と言います。

 1 プライミング効果の記述
 2 変なこと言ってます。
 3 正の転移の話かな。
 4 スキーマに関連してることを言ってるっぽい

 答えは1です。

問5 メンタル・レキシコン

 メンタル・レキシコンについての説明は問2をご覧ください。

選択肢1

 概念は語彙より多いです。語彙は概念に名前をつけたものですが、名前をつけられないような概念もたくさんありますね。名前がないので例が挙げられないんですけど、例えば「このリズムの足音は田中さんだ」みたいなやつでもいいと思います。この選択肢は間違いです。

選択肢2

 私たち日本語母語話者は子どもの頃から国語の時間に学んできた日本語の字形が蓄積されてますが、新しく英語を学ぼうとなったらそれまで国語の時間で学んだ字形に関する知識は役立ちません。英語を書くときは新しく英語の字形を学ぶ必要があって、それは別々の知識。この選択肢は間違いです。

選択肢3

 言語処理と言語学習は同時に起こると考えても良いでしょう。(根拠は示せないけど…)
 例えば「~たことがある」の文型を使って例文を作ってみましょうーというときに「食べたことがある」「見たことがある」「怒ったことがある」など例文作りますよね。この例文を作る過程で「食べる」をタ形「食べた」にして、「ことがある」をつけて… という言語処理をしています。この過程を何回も繰り返すと動詞タ形の作り方と「~たことがある」についての学習が進みます。これは同時と言えるんじゃないでしょうか。

選択肢4

 この選択肢が答えです。
 はじめて勉強する外国語の語彙って妙に覚えにくい。例えば「仿佛(fangfu)」という中国語なんですけど、私これ勉強したときどうも覚えにくかったんです。日本語読みすると「ほうふつ」ですよね。「~を彷彿とさせる」みたいな使い方をしてどうも「想像」と結びつきがちでした。しかし中国語の意味は「あたかも」とか「まるで~みたいな」のような比喩のときに用います。この違いに苦労しました。勉強したばかりの頃は語彙「仿佛」と概念「あたかも」の結びつきが弱かったってことです。しかし「仿佛」を自分でも使うようになり、何度も「仿佛」に触れる中で語彙と概念の結びつきが強くなり、思い出すのも簡単に、聞いてもすぐわかるようになりました。語彙と概念の結びつきが強くなると自由自在に使えるようになります。それはすなわち習熟度が上がったということ。

 答えは4です。




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