令和6年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅱ 問題4解説
1番
問1
外国人は「仕事変えます」と言ったために、店長さんは仕事を辞めるものだと勘違いしました。実際は、仕事の時間帯を変えるという意味で「仕事」を用いていたようです。その後店長さんは「シフト」のことだろうと気づき、誤解は解けました。
a 外国人店員の発話の時制は全て正しくル形が使われています
b これが答え
c 断定や疑問のモダリティ形式が使われていますが、全て正しいです
d 店員が発した外来語は「シフト」しかなく、これは漢語から言い換えたものではありません
問1の答えはbです。
問2
外国人店員は「シフト」の意味が分からなかったので、店長さんは「10時から15時までとか、15時から21時までとか」と、シフトの具体例を示して語の意味を説明しました。
問2の答えはdです。
2番
問1
音節でリズムをとる言語の学習者は、日本語のように拍でリズムをとる言語を学ぶ場合に困難を示すことがあり、例えば「がこう」が「がこ」になったり、「スーパー」が「スパ」になったり、長音や促音が抜け落ちるようなことがあります。そういう学習者に対して、日本語の拍感覚を視覚的、聴覚的に認識させるため、手拍子しながら教えるということはまあまあ用いられる手法です。この教育実習生も、「ごはん」「マッチ」を手を3回叩きながら読み上げて3拍であることを示すことをしています。
しかし、3つ目に提示した語「チョコレート」で問題が生じています。
チョコレートを拍で分けると「チョ、コ、レ、ー、ト」の5拍であるにも関わらず、「チ、ヨ、コ、レ、エ、ト」と6つに分けて手を叩きました。小さい「ゃ、ゅ、ょ」が含まれる「きゃ、きゅ、きょ」「ちゃ、ちゅ、ちょ」などの拗音は、仮名2文字で1拍に相当します。仮名2文字の「チョ」を2拍と数えたこの教育実習生は間違いです。
問1の答えはaです。
問2
拗音を含む「チョコレート」を「チ、ヨ、コ、レ、エ、ト」に分けて6拍だと指導したがために、その後学習者は「りょこう」を「リ、ヨ、コ、ウ」と4拍に分けてしまい、間違った指導で間違った知識を教えてしまっています。とすると、この学習者は拗音が含まれる語の拍数を誤る可能性があります。a~dの中に拗音が含まれるかどうか見て、含まれているものは間違いが予測されるものとして適当なものです。
a 拗音なし
b 拗音なし
c 「しゅみ」の「しゅ」が拗音なので、この学習者は「し、ゆ、み」と3拍にしてしまう可能性がある
d 拗音なし
問2の答えはcです。
3番
問1
この学習者は次のような誤用を産出しています。
この発表の目的は、~を示します。
さらに大きな問題は、~が低いです。
「この発表の目的は」「さらに大きな問題は」と名詞述語文の主語が来ているので、述語に名詞もしくは名詞句を置いて「~を示すことです」「~が低いことです」としなければいけませんが、「~を示します」「~が低いです」のように動詞述語文やイ形容詞述語文の述語が来ています。このような文を主語と述語がねじれていると表現します。
問1の答えはbです。
問2
この学習者の気になるアクセントは次の4つ。
はっぴょうが(平板型) → はっぴょうが(頭高型)
もんだいが (平板型) → もんだいが (頭高型)
グラフが (平板型) → グラフが (頭高型)
ろうどうが (平板型) → ろうどうが (頭高型)
もともと平板型で発音される語が頭高型に変わる規則が見い出せます。
問2の答えはdです。
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