令和6年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題1(12)解説

令和6年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題1(12)解説

(12)「によって」の用法

 「によって」は意味が多い! 簡単にまとめると次の5つあります。

 (1) 成績によって合否が決まる。  <根拠
 (2) 研究によって発見された。   <手段
 (3) 台風によって中止になった。  <原因
 (4) 窓が何者かによって壊された。 <受身文に対応する能動文の動作主
 (5) 人によって考えは違う。    <異なる状況で異なる結果

 各選択肢がこのうちどれか見ます。

選択肢1

 能動文「AIが文章を作った」と言い換えられるので、この「AI」は<受身文に対応する能動文の動作主>を表します。

選択肢2

 「猛特訓で成果が得られた」と「で」に置き換えられます。「~によって」は「で」に置き換えられるとき、<根拠>か<手段>か<原因>のどれかです。いろんなやり方があると思いますが、<根拠>の場合は「~にもとづいて」に置き換えられます(成績にもとづいて合否が決まる)し、<原因>だったら「~が原因で/~のおかげで/~のせいで」に置き換えられます(台風が原因で中止になった)。そのどっちもできないときは<手段>かな。
 「猛特訓にもとづいて成果が得られた」とは言えないから<根拠>ではない。「猛特訓のおかげで成果が得られた」と言えるから、この「によって」は<原因>ですね。

選択肢3

 能動文「自治体が夏祭りを開催した」と言い換えられるので、この「自治体」は<受身文に対応する能動文の動作主>を表します。

選択肢4

 能動文「人間が自然を破壊した」と言い換えられるので、この「人間」は<受身文に対応する能動文の動作主>を表します。 

選択肢5

 能動文「審査委員会が優秀賞を選出した」と言い換えられるので、この「審査委員会」は<受身文に対応する能動文の動作主>を表します。

 選択肢2だけ<原因>、それ以外は<受身文に対応する能動文の動作主>。
 答えは2です。




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