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令和2年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題5解説

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令和2年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題5解説

問1 新出語の導入

選択肢1

 初級者は新しいことばっかりで色々覚えないといけないことが多く大変なので、すぐ役に立つような語を優先して導入したほうがいいのは間違いありません。例えば「言う」の類義語には述べる、伝える、告げる、述べる、教えるなどありますが、まあ最悪どの場面でも「言う」を使えば意味は通じますので、より汎用性の高い、使用範囲の広い「言う」を優先的に教えることは学習者の負担を軽減させられます。この選択肢は正しい。

選択肢2

 「失礼いたしました」を「失礼」と「いたす」に分けて教えたり、「ありがとうございました」「ありがとう」と「ござる」に分けて教えるのは逆に面倒。定型表現は全体を一語として扱って口慣らしするほうが早いです。この選択肢は間違い。

選択肢3

 「寒い」という語を「気温が低いこと」と教えるだけだと文脈への依存度が低く、学習者の負担になります。(低コンテクストの状態) でも教師が「寒い」と言いながら寒そうに震えたりする様子を見せると、「寒い」を使う場面が視覚的にも理解できて記憶に残りやすくなります。長期記憶に残すためには場面と一緒に導入したほうがいいです。この選択肢は間違い。

選択肢4

 「寒い」と同時に「暑い」も教えると対応させて覚えやすくなったりします。気温という点からも共通してますし、使う場面も似ているので一緒に覚えると効率的ですが…
 ただし!!!!
 「寒い-暑い」「冷たい-熱い」「涼しい-温かい」など似ているものをたくさん同時に提示しちゃうとかえって覚えにくくなるのでやりすぎ注意。この選択肢は半分正しくて半分間違い。

 答えは1です。

問2 目的と方法が一致していないタスク

選択肢1

 すごくいい。習った単語を使いながら体験談を書かせると、書くときに習った単語を意識するので記憶に残りやすくなります。

選択肢2

 短文を読ませただけでは語の意味を理解しているかどうかは判断できません。意味が分からなくたって読み方分かればリピートできるので。この選択肢は間違い。

選択肢3

 例えば「飛び降りる」は高いところからジャンプするようなときに使える動詞です。具体的に言うと自殺とかスカイダイビング、バンジージャンプとかですね。ある学習者がこの語から「椅子から飛び降りる」という例文を作ったら、「飛び降りる」の使用範囲がちゃんと導入できていないことが分かります。語にはある程度使用範囲があるので、それを確認するために例文を作らせるのは一定程度有効です。

選択肢4

 日本語の「湯」はお湯やお風呂、銭湯を意味しますが、中国語では料理のスープを指します。同じ漢字なのに意味が違うので学習するときに注意が必要です。こういう違いをちゃんと理解しているかどうかは母語の文を翻訳させることで確認できます。

 答えは2です。

問3 階層的関係

 1 「販売する(売る)」と「購入する(買う)」は対義関係
 2 「賛成」と「同意」は類義関係
 3 「動物」と「鳥」は包摂関係(動物が上位語で、鳥が下位語
 4 「杉」と「松」は同位語の関係(上位語「植物」の下位語にあたるもの)

 選択肢3は階層性があります。ここでいう階層性とは、一方がもう一方に含まれるような関係性のこと。動物というジャンルに含まれる鳥という感じ。
 よって答えは3です。

問4 対義語の特徴

選択肢1

 「男」と「女」、「寝る」と「起きる」みたいに対応する語の品詞が同じものもありますけど、「きれい(ナ形)」と「汚い(イ形)」のように違うものもあります。だから後件の内容は正しいです。
 でも「ぼけ」と「つっこみ」ってどっちも名詞なんで、挙げる例として不適切。この選択肢は間違い。

選択肢2

 正しいです。
 値段の観点から見ると「高い-安い」、高さの観点から見ると「高い-低い」。一対一にならないものもあります。

選択肢3

 「桜」と「梅」は対義語ではありません。どちらも上位語「植物」の下位にあたるので、同位語の関係です。

選択肢4

 漢語「老化」に対して和語「若返り」のような、対になる語の語種が異なっているものは当然あります。語種が異なっているものは学習者にとって不規則に感じるので習得が難しくなりますが、この選択肢で挙げられている「不急」と「火急」はどちらも漢語です。異なる語種の例として挙げるのに不適切。この選択肢は間違いです。

 したがって答えは2です。

問5 付随的学習

 言語の学習方法は意図的学習と付随的学習に分けられます。
 教科書を読んだり、授業を受けたり、書いたり読んだりして意識的に学習するのが意図的学習。付随的学習は何か別のことをしているときに(たまたま)出てきた単語などを自然に覚えていく学習です。

選択肢1

 漫画を読んでいるうちに偶然触れた語を覚えた、これが付随的学習です。それを声に出して練習するということは、付随的学習が意図的学習によって補完されているので下線部Dとは逆。

選択肢2

 たまたま新聞で見たのが付随的学習、それを書き留めるのは意図的学習。
 付随的学習が意図的学習によって補完されているので下線部Dとは逆。

選択肢3

 単語の意味を文脈から推測して理解できるのは付随的学習です。その後単語帳に記入するのは意図的学習。
 付随的学習が意図的学習によって補完されているので下線部Dとは逆。

選択肢4

 クラスで勉強したのが意図的学習。それを偶然広告で発見し理解が深まりました。
 意図的学習が付随的学習によって補完された例です。

 したがって答えは4です。

 




コメント

コメント一覧 (4件)

  • 問題5の問4の選択肢4、不急と火急の解説で「どちらも漢語で語種が同じ」という説明は理解しました。しかし「両者は対義語でない」との説明は?です。下記リンクマークのページでは対義語であると解説されていますし、私も、時代劇か古いドラマで、とても急ぐことを「火急の件…」などと言っていたのを聞いたことがあります。
    https://thesaurus.weblio.jp/antonym/content/火急

    • >ヒロシさん
      ご指摘ありがとうございます! 火急は初めて聞いた言葉で、調べもせずに対義語じゃないだろうと思ってました。
      解説は既に修正しました。

  • 問題5の問い4の選択肢3で桜と梅です「対義語」と説明されていますが、問題には「対語」(ついご)と書いてあります。対義語ではなく、一組の言葉という意味ではないでしょうか?

  • いつも参考にさせていただいております。
    ありがとうございます。
    いきなりで申し訳ございませんが、
    問題5の問1の選択肢2番のご説明で、「疲れ」は 「疲れる」の連用形、となっていますが、何故
    「連体形」ではないのでしょうか?

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