類義語
類義語とは、同一の言語内において単語Aと単語Bが指す概念が同一に近く、明らかな違いは感じられないが、2語の意味領域が重なり合わない部分もあるペアのことです。二語の意味がほぼ同一なのに使い分けが生じるのは、類義関係にある二つの語の間に意味やニュアンスの何らかの違いがあり、このような文脈では単語Aがより適切で単語Bは適切ではない、というようなおよそ共通の認識に支えられているからです。
(1)a 〇景色が美しい
b 〇景色が綺麗だ。
(2)a 〇この問題の解き方は美しい。
b ✕この問題の解き方は綺麗だ。
(3)a ✕部屋が美しい。
b 〇部屋が綺麗だ。
人や景色などの形容には「美しい」も「綺麗」もどちらも使えるのでこの2語はおおむね同じ意味を持つ類義語と判断できそうです。しかし数学の問題などに対する形容では「美しい」がより適切で「綺麗」は不適当に感じられます。逆に部屋にゴミなどがない様子を形容する場面では「美しい」よりも「綺麗」が適切に感じられます。類義語は2語それぞれが持つ意味領域の大部分が共通していますが、その細部に何らかの違いが見出せます。
参考文献
村木新次郎(2018)「意味の体系」『朝倉日本語講座4 語彙・意味』59-61頁,朝倉書店
国立国語研究所(1965)「類義語の研究」『国立国語研究所報告 28』秀英出版
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