6月8日(土)から音声学の短期講座がはじまります。

コースデザインとは?

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コースデザイン(course design)

 コースデザイン(course design)とは、言語教育のコースに関連する一切の計画を立てることです。「いつ」「どこで」「誰が」「誰に」「何を」「何のために」「どのように」をはじめとして、どのようにテストをし、どのように評価をするかなど、関連するあらゆる問題を1つ1つ考慮して計画します。コースデザインは日本語学校のような大規模な教育機関だけが行っていることではなく、個人レッスンのような小規模の言語教育やボランティア教室などでも必要です。

 コースデザインは言語教育の実施前において必要に重要な役割を担います。
 例えば誰かに「日本語を教えてほしい」と言われたときに、評判のいい教科書を1冊用意して授業をしたとしても様々な問題が生じます。学習者からは学びたいことと違うと言われるかもしれないし、レベルが合わなくて予定通り進められないかもしれません。その他多くの問題は教え始める前のコースデザインが十分に検討されていないことが原因です。言語教育は単純にある教授法を使って、この教科書を使ってやればいいと考えるわけにはいかず、実際は「誰に」の部分をとってみても、学習者がこれから留学を目指す外国人なのか、すでに留学している留学生なのか、仕事をしている社会人なのかなどによってもコースの中身は変わってきます。日本語学習者は特定の目的のために日本語を学習しているので、その目的を効率的に達成するために学習することを望んでいます。「何を」についても何だかんだと日本語の全てを教えていいというわけではなく、教えるべき日本語は学習者が求めているある限られた一部の日本語です。

 日本語教育に従事する人はこうしたコースデザインの全体像を把握しておかなければいけません。

コースデザインの流れ

 コースデザインのだいたいの流れを上図に示します。
 コースデザインでは、まず学習者の学習目標や学習条件を把握するためにニーズ調査・分析レディネス調査・分析を行い、調査結果を分析します。その結果をもとにして次は目標言語調査を行います。この段階でコースの到達目標が定まります。到達目標が定まったら次にシラバスデザインで「何を教えるか」を決め、カリキュラムデザインで「いつ、どのように教えるか」を決めます。

参考文献

 佐々木泰子(2007)『ベーシック日本語教育』116-117頁.ひつじ書房
 日本語教育学会(1991)『日本語教育機関におけるコース・デザイン』1-4頁.凡人社
 田中望(1988)『日本語教育の方法―コース・デザインの実際』3-9頁.大修館書店




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