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平成30年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題14解説

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平成30年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題14解説

問1 尊敬語

 尊敬語は相手の行為・状態・物事を高めて述べるものです。

 (1) 社長がいらっしゃいました。  <行為>
 (2) 社長はお元気ですか。     <状態>
 (3) 社長のお車きれいですね。   <物事>

 (1)は社長の行為である「来る」を、(2)は社長の状態である「元気」を、(3)は社長の物事である「車」を立ててそれぞれ尊敬語にしたものです。尊敬語かどうかを判別にするには、立てるべき人物の行為、状態、物事かどうかを見るといいです。

 1 「いらっしゃる」は相手の行為なのでこれが尊敬語
 2 「ございます」は丁寧語。「です/ます」よりも更に丁寧度が高いものです。
 3 「拝見する」は自分から相手に向かう行為なので謙譲語Ⅰ
 4 「いたします」は自分の行為で謙譲語Ⅱ

 したがって答えは1です。

問2 美化語

 下線部Bは美化語のことです。

 (1) お空がきれい。

 (1)の「お空」は綺麗という状態の「空」を立てているわけではないから尊敬語ではありません。<向かう先>を立てているわけでもないから謙譲語Ⅰでもありません(そもそも向かう先がいない)。さらに相手に丁重に述べているわけでも、相手に丁寧に述べているわけでもないので謙譲語Ⅱでも丁寧語でもないです。この「お空」はただ物事を美化して述べていると考え、美化語と呼ばれています。

 1 「利用」するのは相手。相手の行為に対する尊敬語の「ご」です。
 2 「土産」を美化して述べる美化語の「お」
 3 「手紙」は相手の書いたものだから尊敬語の「お」
 4 「案内」は自分の行為から相手に向かう行為謙譲語Ⅰの「ご」

 したがって答えは2です。

問3 他者を低く位置づけるぞんざいな語

 「おまえ」とか「きさま」とか「クソガキ」とかそういう他人を貶めるような言葉を探します。

 1 「拙宅」は自分の家をへりくだって言う表現です。
 2 「弊社」は自分の会社をへりくだっていう表現です。
 3 「せがれ」は自分の息子をへりくだって言う表現です。
 4 「じいい」は「おじいさん」をののしって言う表現です。

 したがって答えは4です。

問4 話し手と聞き手との人間関係に基づく丁寧さの規範から逸脱した表現

 話し手と聞き手の上下関係によって丁寧さの度合いは変わります。例えば目上の人相手に話すなら丁寧な表現が必要になりますし、同等あるいは目下の人相手にはくだけた表現でも大丈夫です。この規範から逸脱した表現を選択肢から探しましょう。

選択肢1

 弟に対して「今何時だと思ってるんだ」というのは規範通りの使い方だから問題ありません。
 弟に対して丁寧な表現を使えば逆に規範から逸脱します。

選択肢2

 親友は上下関係がありませんので、「ついにやりやがったな」というのは規範から逸脱した表現ではありません。

選択肢3

 親と息子は通常親のほうが上、息子のほうが下に位置するので、親は息子に対してくだけた表現を使うのが普通です。しかしこの例は親が息子に対して敬語を使っていて、通常の上下関係とは逸脱した表現です。だからといって間違いというわけではなく、その場面において息子と距離を取ろうとしていると考えられます。突き放すとき、怒っているときなどにこのような言語行動が現れることがあります。これが答え。

選択肢4

 乗務員が乗客に敬語で話しかけるのは規範に基づいています。

 したがって答えは3です。

問5 待遇表現の指導の内容

選択肢1

 上司に意思を尋ねるときは「どうされますか?」「どうなさいますか?」などというべきです。「つもり」を使うとちょっと上から目線って感じがするような… 不思議ですね。たぶん目上の人の意向を直接聞くのは日本語では避けられる傾向があるんだと思います。これは不適当。

選択肢2

 正しいです。目上の人に能力的な質問をするのは不適切です。仮に敬語を使っていたとしても。

選択肢3

 マイナス敬語は確かに対人関係を悪化させる可能性が高いです。だからこそ注意が必要なので簡単にでも指導すべき。「この野郎」は危ない言葉だから、できれば使わないようにしてくださいみたいに。もちろん、学習者が望んでいる場合は無論導入すべきです。

選択肢4

 目上の人からの依頼を断ること自体は失礼にあたりませんが、断る際に「いたしません」とはっきり言うのは日本語にはあまり見られない語用で、一般に不適切で失礼にあたります。日本語母語話者は都合が悪いなどと理由をつけて婉曲的に断るケースが多いです。

 したがって答えは2です。

 




コメント

コメント一覧 (3件)

  • こんにちは。
    いつもサイトを読ませて頂いてます。検定試験の勉強にとても助かっています。
    ひとつ質問です。平成30年検定試験 三の問題14
    問5ですが 選択肢3の「この野郎」はマイナス敬語に当たるんでしょうか。
    お忙しいところすみません。お時間ある時で構いません。いつも分かりやすい解説ありがとうございます。

    • >市川さん
      こんにちは! コメントありがとうございます。
      この「マイナス敬語」は、待遇表現における他者を低く位置付ける表現のことです。
      敬語は相手や物事を高く扱うのでプラスの待遇表現ですが、低く扱うものはマイナスの待遇表現です。ここで示される「この野郎」はマイナスです。
      二人称や三人称でいうと大体こんな感じでしょうか。

      プラス 貴殿 貴女 そちら あの方 役職名…
      中性的 あなた 彼 彼女…
      マイナス 野郎 てめえ お前 あいつ やつ…

      “敬語”は相手を高める表現に限られ、尊敬語、謙譲語ⅠⅡ、丁寧語(+美化語)を指します。
      “待遇表現”は相手や物事に対して何らかの配慮をするような表現を指し、ここには敬語とその他ぞんざいな表現(マイナス)も含まれます。

  • お返事ありがとうございます。
    待遇表現と敬語の違いを理解してませんでした。浅はかな質問をお許しください。丁寧な説明でよく理解できました。本当にありがとうございました。これからもブログ読ませて頂きます。

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