創造的構築仮説(Creative Construction Hypothesis)
創造的構築仮説(Creative Construction Hypothesis)とは、「第二言語学習者は習得の途上で自ら様々な仮説を立て、それを修正しながら言語習得を行っていくという仮説」(鈴木・白畑 2012: 149)のことです。デュレイとバート(Dulay & Burt 1973)によって提唱されました。
習慣形成理論や対照分析仮説によれば、子どもの母語と習得しようとしている第二言語が異なる場合に誤用が必ず現れると予測され、そしてこの誤用は子どもの母語(古い習慣)の構造を第二言語(習得しようとしている新しい習慣)の構造に転移させた結果であると考えられています(負の転移)。しかし創造的構築仮説は対照分析仮説とは対照的に、子どもは母語に関する知識とは無関係に新しい言語を新しく創造的に構築していると考えます。第二言語における誤用は習得の途中で自ら立てた仮説が間違っていたからであり、学習者はその仮説を修正する過程を経て新しい言語体系を作っていくと考え、したがって母語から第二言語に転移することによる誤用は発生しないと主張しています。
(創造的構築仮説を支えるものとして、文法形態素の習得順序研究があります。これについては鈴木・白畑(2012: 144-149)が分かりやすいです。)
なお、創造的構築仮説は誤用の産出における母語の影響を軽視している点が批判されたりしています。
参考文献
白畑知彦・若林茂則・村野井仁(2010)『詳説 第二言語習得研究 理論から研究法まで』17-29頁.研究社
鈴木孝明・白畑知彦(2012)『ことばの習得-母語習得と第二言語習得-』123-152頁.くろしお出版
Dulay, H., & Burt, M. (1973). Should we teach children syntax? Language Learning, 23, 245-258.

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