母語(mother tongue)
母語については、スクトナブ・カンガス(Skutnabb-Kangas)が ” Short definitions of mother tongue(s)”(母語の簡潔な定義)と題して次のようにまとめています。
以下は三宅(2023: 83)の訳を引用したものです。
基準 | 定義 |
---|---|
習得時期 | 最初に覚えた(習得した)言語 |
アイデンティティ a.内的 b.外的 | a.自分のものである言語/最も自分らしくいられる言語b.他人からネイティブ・スピーカーとして認められる言語 |
能力 | 最もよく理解できる/習熟している言語 |
使用頻度 | 最もよく使う/使用頻度の高い言語 |
習得時期の面からいうと最初に覚えた言語、アイデンティティの面から言うと、内的には自分の言語と認めている言語、外的には他人からそれが母語だと認められている言語、能力的には最も扱える言語、使用頻度的には最も使用頻度の高い言語を母語(mother tongue)としています。
参考文献
Kontra, Miklós, Lewis, Paul, Skutnabb-Kangas, Tove (2016). Afterword: disendangering languages. In Johanna Laakso, Anneli Sarhimaa, Sia Spiliopoulou Åkermark and Reetta Toivanen (eds). Multilingualism beyond rhetorics: towards openly multilingual policies and practices in Europe. Bristol: Multilingual Matters, 217-233.
三宅和子(2023)「「母語」を問い直す ―曖昧な意味に潜むイデオロギーと誤解の根源―」『東洋大学人間科学総合研究所紀要 第25号』69-89.
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