複合(compound)
複合(compound)とは、2つ以上の自由形態素を組み合わせて新たな語を作ることです。合成の一種。自由形態素である「きつね」と「ダンス」を組み合わせ「きつねダンス」を作る過程を指します。複合で作られた語は複合語(compound words)と言います。複合は非常に生産性が高く、複雑な複合語も簡単に作ることができます。
(1) きつねダンス
(2) 気象制御装置
(3) 少年野球チーム
(4) 世界貿易センタービル
(5) 晴れ晴れ (畳語)
(6) 人々 (畳語)
複合には例(5)(6)のように、一つの自由形態素を反復したものも含まれます。このような語は複合語の一種ですが、一般には畳語と呼ばれます。
複合語の下位分類(複合名詞、複合動詞、複合形容詞)
複合語はその品詞から複合名詞、複合動詞、複合形容詞の3つに分けられます。複合名詞は「朝日」「鶏肉」など、複合動詞は「走り切る」「取り除く」など、複合形容詞は「暑苦しい」「蒸し暑い」などがあります。日本語では、複合語の品詞を決めるのは後部要素であり、後部要素の品詞がそのまま複合語全体の品詞になっています。例えば「朝日」の後部要素「日」は名詞なので、複合語「朝日」も名詞です。
【複合名詞】 朝日、鶏肉、黒猫、逃げ水、土砂降り…
【複合動詞】 走り切る、取り除く、駆け出す、泣きわめく…
【複合形容詞】 暑苦しい、蒸し暑い、ずる賢い、気楽…
参考文献
漆原朗子(2016)『朝倉日英対照言語学シリーズ4 形態論』朝倉書店
斎藤純男(2010)『言語学入門』61-63頁.三省堂
斎藤純男,田口善久,西村義樹編(2015)『明解言語学辞典』133-134頁.三省堂
リンゼイ J.ウェイリー(著)・大堀壽夫(訳)・古賀裕章(訳)・山泉実(訳)(2006)『言語類型論入門-言語の普遍性と多様性』117-124頁.岩波書店
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