長音
長音とは、前接する母音と同じ母音を引き延ばして1拍を形成する音です。音声学では長母音と言います。長音はそれだけで音節を構成することはできず、必ず直前の母音とともに1音節を形成します。音素表記は/R/、国際発音記号では[ː]で表しますが、仮名表記は現代仮名遣いで規定されています。主に和語や漢語は「あ」「い」「う」「え」「お」のいずれか、外来語では「ー」が用いられることが多いです。
(1) おかあさん [okɑːsɑɴ] (ア列長音)
(2) おにいさん [oɲiːsɑɴ] (イ列長音)
(3) くうき [kɯːki] (ウ列長音)
(4) おねえさん [oneːsɑɴ] (エ列長音)
(5) おとうさん [otoːsɑɴ] (オ列長音)
原則として前接する音が /a/ なら「あ」、/i/ なら「い」、/u/ なら「う」、/e/ なら「え」、/o/ なら「う」を添えて長音の表記とします。ただし例外もあり、「狼」「氷」「通る」などは /o/ が前接していますが「お」が添えられます。このほか「カード」「エネルギー」「ビール」などの外来語は長音仮名表記に「ー」を用います。
(6) 塔 [toː]
(7) 問う [toɯ] (長音ではない)
(8) 王 [oː]
(7) 追う [oɯ] (長音ではない)
「問う」「追う」などは [o] と [ɯ] の間に音節境界が含まれる母音連続なので、一音一音はっきり発音されて長母音にはなりません。一方「塔」「王」は長音です。本来は長母音になる音であっても一音一音はっきり発音する場合は長音にならないこともあります。
参考文献
鹿島央(2002)『日本語教育をめざす人のための基礎から学ぶ音声学』79-80頁.スリーエーネットワーク
千駄ヶ谷日本語教育研究所(2015)『日本語教育講座2 音声・語彙、意味』53頁.千駄ヶ谷日本語教育研究所
コメント