6月8日(土)から音声学の短期講座がはじまります。

外発的動機づけと内発的動機づけについて

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外発的動機づけと内発的動機づけ

 動機づけ(motivation)とは、「有機体に行動を起こさせ、その行動を一定の目標へと方向づける過程」(宇野 1995: 141)のことです。教育心理学の見方ではその目標が有機体の外部にあるか、有機体の内部にあるか(活動すること自体が目標であるか)によって外発的動機づけと内発的動機づけに分けられることがあります。

外発的動機づけ

 賞罰(アメとムチ)によって動因を作り出し、有機体の行動を起こさせること外発的動機づけ(extrinsic motivation)と言います。私の経験でいうと… 小学校の夏休みには毎日近くの公園に朝6時に集まってみんなでラジオ体操をするという町内会の活動がありました。私は参加した証としてのハンコをもらうことが楽しかったので毎日欠かさず行ってましたが、全く、あるいはほとんど来ない友達も少なからずいました。町内会はその対策に乗り出したのかは分かりませんが、途中から参加した児童生徒にはお菓子を配るということを始めたところ、それまで来なかった友達がお菓子目当てか、毎日参加するようになりました。

 これらの行動はいずれの場合も外発的に動機づけられています。私はハンコをもらうという外部報酬を目標にラジオ体操に行くという行動を起こしていました。それまで来なかった友達は「お菓子」という外的手立てによってようやく行動が生じています。ただし、行動が外発的に動機づけられている場合、「その行動を持続させるためには、報酬を与え続けなければならないばかりではなく、報酬を中止した場合に全くやる気をなくしてしまう」(宇田川 2009: 88)という問題もあります。この場合、ハンコを押したりお菓子を配ることを止めれば児童生徒は集まらなかったかもしれません。

内発的動機づけ

 外発的動機づけだけでは有機体の行動を促進させることはできないことが知られています。私たちは常に外的な賞罰を目標として行動しているわけではなく、好奇心によって行動する場合もあるからです。日常場面を考えてみると、褒められたり怒られたりするから行動を起こすということもありますが、新しい知識を学ぶのが楽しくて本を読んで調べたり、パズルが解けて楽しかった経験からパズルをやるようになったりなどと、有機体の内側から湧いてくる行動の原動力である好奇心が行動をすること自体を目標として方向付けることもあります。この類の動機づけは内発的動機づけ(intrinsic motivation)と呼ばれます。

参考文献

 宇田川一夫(2009)「動機づけの諸理論」『現代と未来をつなぐ実践的見地からの心理学』87-90頁.八千代出版
 宇野忍(1995)「学習と内発的動機づけ」『教育心理学―授業に学び授業を創る』134-157頁.中央法規出版




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