直示(ダイクシス:deixis)
発話現場のコンテクストを参照することによってはじめて意味が一意に定まるような言語のコンテクスト依存性を直示(ダイクシス:deixis)と言い、そのようなコンテクスト依存性を有する言語表現を直示表現(ダイクシス表現:deictic expressions)と言います。
(1) ここに置いてください。 (話し手が玄関にいる場面で)
(2) ここに置いてください。 (話し手が倉庫にいる場面で)
(3) ここに置いてください。 (話し手が廊下にいる場面で)
場所を指す指示代名詞「ここ」は話し手がいる場所の近くを指します。(1)のように話し手が玄関にいれば「ここ」は「玄関」を指し、(2)のように話し手が倉庫にいれば「ここ」は「倉庫」を指します。つまり「ここ」は発話現場における話し手の場所(物理的コンテクストの一部)を参照して意味が一意に定まる直示性を有します。
直示は Fillmore(1975)によって人称直示(person deixis)、場所直示(place deixis)、時間直示(time deixis)、談話直示(discourse deixis)、社会的直示(social deixis)の5つに分類されています。各直示についてはリンク先をご覧ください。
参考文献
小泉保(2001)『入門 語用論研究―理論と応用―』5-32頁.研究社
澤田淳(2020)「指示語用論」『はじめての語用論 ―基礎から応用まで』77-92頁.研究社
林宅男(2002)「直示」『プラグマティックスの展開』33-43頁.勁草書房
東森勲(2012)「意味のコンテクスト依存」『朝倉日英対照言語学シリーズ7 語用論』13-22頁.朝倉書店
Fillmore, C. J. (1975) Santa Cruz Lectures on Deixis, 1971. Mimeo, In: Indiana University Linguistics Club.

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