修飾(modification)
修飾(modification)とは、ある成分によって他の成分の意味を限定したり、他の成分について補足を加えたりすることです。
(1) 白い服
(2) せっかくの機会
(3) とても酷い
(4) かなり静か
(5) 早く行け
(6) 私たちが住んでいる地球
例えば(1)における「白い」は「服」を修飾することで、「服」という集合のうち「白い服」のみを指し示すようになっています。「白い服」は「服」という集合の一部にあたるので、修飾したことで意味が限定されて(指し示す範囲が狭まって)います。意味を限定するこのような修飾は制限的修飾と言い、例文(1)~(5)がそうです。
一方、(6)は意味を限定するのではなく、修飾によって意味が補足されている非制限的修飾の例です。「地球」は必ず「私たちが住んでいる」という特徴を有しているので、「私たちが住んでいる」で修飾したところで「地球」が指す意味が限定されているわけではありません。
修飾において、修飾する機能を持った成分を修飾成分、修飾される成分を被修飾成分と呼びます。上記例文における下線部が修飾成分で、それ以外の部分が被修飾成分です。なお、日本語においては修飾成分が被修飾成分に先行する形で修飾を実現します。
連体修飾と連用修飾
修飾は、どのような被修飾成分を修飾するか、すなわち被修飾成分の品詞によって連体修飾と連用修飾に分けられます。被修飾成分が体言(名詞)である場合、当該修飾を連体修飾と言います。被修飾成分が用言(動詞、イ形容詞、ナ形容詞)や副詞である場合、当該修飾を連用修飾と言います。
(6) 暑い日 (連体修飾)
(7) 頭の中 (連体修飾)
(8) 静かにしろ (連用修飾)
(9) 非常に汚い (連用修飾)
(10) とても綺麗 (連用修飾)
修飾語と修飾節
修飾成分は語句の場合もあれば、節の場合もあります。語句の修飾成分は修飾語、修飾句などと呼ばれ、節の修飾成分は修飾節と呼ばれます。ただし、どこまでが修飾語、修飾句でどこまでが修飾節なのか境界線は微妙です。ここでは「述語を中心とした格成分や修飾成分を含むまとまり」を節とし、そのような節が修飾成分となったものを修飾節、それ以外を修飾語と呼ぶことにします。
(11) 社長である田中 (修飾語)
(12) 回る風車 (修飾語)
(13) 甘いやり方 (修飾語)
(14) 親切な人 (修飾語)
(15) とてもおいしい (修飾語)
(11)~(15)はいずれも格成分を伴わない語(修飾語)による修飾の例です。名詞は「である」あるいは「の」などを伴って修飾成分となります。
(16) 新しい社長である田中 (修飾節)
(17) 高速で回る風車 (修飾節)
(18) 誰が見ても甘いやり方 (修飾節)
(19) 誰にでも親切な人 (修飾節)
(20) 頬が落ちるほどおいしい (修飾節)
(16)~(20)は格成分や修飾成分を伴った節(修飾節)による修飾の例です。例えば(16)は、述語「社長」に修飾成分「新しい」が加えられた節「新しい社長」で被修飾成分「田中」を修飾しています。(17)は述語「回る」がデ格成分「高速」を伴って「風車」を修飾しています。いずれも節による修飾です。
修飾のあれこれ
(21)a 昨日買った 赤い 服
b *赤い 昨日買った 服
(21a)を見ると、名詞「服」を「昨日買った」と「赤い」の2つの成分で修飾しています。当たり前ですけど複数の修飾成分で一つの名詞を修飾することはできます。しかし、その順序は言語形式が長いものから順番に並ぶ傾向があります。「赤い」と「昨日買った」の順番で「服」を修飾している(21b)は不自然です。
(22)a 私はとても嬉しいです。
b とても私は嬉しいです。
(22)では副詞「とても」が述語の「嬉しい」を修飾しています。(22a)は「とても」と「嬉しい」が隣り合っていますが、(22b)では隣り合っていません。修飾は隣り合っていなくてもできることがあります。
参考文献
庵功雄(2001)『新しい日本語学入門―ことばのしくみを考える』222-223頁.スリーエーネットワーク
郡司隆男・坂本勉(1999)『言語学の方法(現代言語学入門1)』70頁.岩波書店
日本語記述文法研究会(2008)『現代日本語文法6 第11部 複文』43-51頁.くろしお出版
森山卓郎,渋谷勝己(2020)『明解日本語学辞典』87-88頁.三省堂

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