連声
連声とは、[m] [n] [t] に後接する母音・ヤ行・ワ行音がナ行・マ行・タ行に変化する現象です。
(1) 三位 さんい → さんみ (い→み)
(2) 観音 かんおん → かんのん (お→の)
(3) 雪隠 せついん → せっちん (い→ち)
連声は平安時代に始まったとされ、平安時代後期ごろ(院政時代)には現代でも用いられる「因縁」「観音」「感応」「安穏」などが現れました。この時代において連声が起きていたのは撥音の後にマ行・ナ行音がくるタイプの連声で、また漢語に限られていました。室町時代になると「こんにった(今日は)」などのタ行音の連声が現れ、和語にも生じるようになりました。しかし、江戸時代になると連声が起きた語は大きく衰退して、現代においては観音、因縁、三位 、陰陽師、天皇、順応、感応、安穏、銀杏、反応、云々、雪隠… などの主に漢語が残るだけとなり、その数はあまり多くありません。
(4) ワンアウト → ワンナウト (あ→な)
本には書いていないですが、(4)は口語において「ワンナウト」と読むことが多く、ナ行音に変化するタイプの連声だと思われます。
参考文献
沖森卓也(2010)『はじめて読む日本語の歴史』172-173,208,248頁.ベレ出版
森山卓郎,渋谷勝己(2020)『明解日本語学辞典』162頁.三省堂
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