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母音(vowels)
母音は最も気流を妨害しない音なので肺からの呼気の流れを妨げないで発する音と説明されることが多いです。基本的に声帯振動を伴う有声音で、もちろん日本語のアイウエオも全部有声音。(ささやき声にすると無声音になるけど)
母音はその調音に際して、調音器官で気流を妨害するということはありません。ではどうやって様々な種類の母音を発するかというと、唇の丸めの有無(口唇形状)、舌の前後位置(舌の形)、舌の高さ(口の開き具合、顎の開き具合)の3つの要素で決まっています。これらの違いによって気流の通り道である咽頭と口腔の形状が変化し、空気の流れを強く妨害しなくても色々が音が発することが可能になります。
母音の分類
日本語の母音において、舌の高さは狭母音(高母音)、半狭母音(半高母音)、広母音(低母音)の3つの区別があり、舌の前後位置は前舌母音、後舌母音の2つの区別があります。また、日本語の母音アイウエオのうち、唇を丸める円唇母音はオだけで、それ以外は非円唇母音です。日本語にないものは試験において特に覚える必要はないので、日本語にあるものだけで表を書くと次のようになります。
「イエアオウ」の順で覚えるのがコツ。このように発音していくと、はじめ「イ」は舌の位置が高く、「ア」で一番低くなって、「ウ」に向かってまた高くなっていきます。その時の口の開き具合は 狭→広→狭 と変わります。舌の前後位置も「イエ」では前側に、「アオウ」では後ろ側に位置します。
母音 | 円唇性 | 舌の前後位置 | 舌の高さ(口の開き) |
---|---|---|---|
イ [i] | 非円唇 | 前舌 | 狭母音(高母音) |
エ [e] | 非円唇 | 前舌 | 半狭母音(半高母音) |
ア [ɑ] | 非円唇 | 後舌 | 広母音(低母音) |
オ [o] | 円唇 | 後舌 | 半狭母音(半高母音) |
ウ [ɯ] | 非円唇 | 後舌 | 狭母音(高母音) |
参考文献
小泉保(1996)『音声学入門』85-101頁.大学書林
城生佰太郎(2008)『一般音声学講義』71-94頁.勉誠出版
服部義弘(2012)『朝倉日英対照言語学シリーズ 2 音声学』27-45頁.朝倉書店
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