令和6年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題1(14)解説
(14)連体修飾節の限定機能
連体修飾節(名詞修飾節)は、修飾する名詞に対して働く機能によって限定的名詞修飾節と非限定名詞修飾節に分けられます(※1)。
(1) 地域に住む猫を助けよう。 <限定的名詞修飾節>
(2) いま大きく注目されているYouTube <非限定名詞修飾節>
(1)のような<限定的名詞修飾節>は、「猫」が指す概念の中からその中に含まれる特定の概念だけを限定しています。つまり「猫」というのはいろんな猫が含まれますが、この名詞修飾表現はその中の「地域に住む」という性質を持った猫だけを指しています。一方(2)のような<非限定名詞修飾節>は概念の範囲を限定するのではなく、被修飾名詞を詳しく説明して補足情報を付け加える機能を持っています。(2)においては「いま大きく注目されている」という名詞修飾節が「YouTube」の補足情報として成り立っています。
この2つの区別が分かればこの問題は解けます。
選択肢1
「母親のお腹の袋から顔を出しているコアラ」は「コアラ」の概念の一部なので<限定的名詞修飾節>。
木の上にいるコアラもいるし、地面にいるコアラもいるし。
選択肢2
お肉が好きな犬もいるし、甘いもの好きな犬もいます。だから「フルーツが好きな犬」は「犬」の一部。
これは<限定的名詞修飾節>。
選択肢3
寝てる猫もいるし、ご飯食べてる猫もいます。だから「遊びに夢中になっている猫」は「猫」の一部。
<限定的名詞修飾節>です。
選択肢4
赤ちゃんのパンダもいれば、子どものパンダもいます。だから「大人になったパンダ」は「パンダ」の一部。
これは<限定的名詞修飾節>。
選択肢5
「鯨」は必ず海の中で生活しているので、「鯨」と「海の中で生活している鯨」は含み含まれる関係ではありません。この名詞修飾節「海の中で生活している」は「鯨」に補足説明を加えたものだからこれは<非限定名詞修飾節>。
答えは5です。
《参考文献》
(※1)日本語記述文法研究会(2008)『現代日本語文法6 第11部 複文』84-92頁.くろしお出版
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