6月8日(土)から音声学の短期講座がはじまります。

プライミング効果とは?

プライミング効果(priming effect)

 プライミング効果(priming effect)とは、プライム(先行刺激)の後にターゲット(後続刺激)を処理するときに、プライムとターゲットが意味的に関係しているとターゲットの処理が促進される現象のことです。
 プライミング効果はメイヤーとシュベインベルト(Meyer & Schvaneveldt 1971)の実験によって発見されました。この実験では、被験者に対して文字列を2つ上下に配置したディスプレイ画面を見せ、その文字列がお互い意味的に関係しているかどうかを判断させました。このとき、「先生」と「学生」、「海」と「サーフィン」のように意味的に関連した組み合わせ(有意味語対)の場合は、「建築」と「生卵」、「ゴミ」と「豪雨」のような意味的に無関係な組み合わせよりも反応時間が短くなることを発見しました。これには意味記憶の記憶構造や検索メカニズムが反映されていると考えられています。

 プライムを処理すると意味記憶におけるその概念が活性化され、活性化によって意味的に関連する概念へと拡散し、それらも継起的に活性化されます。その後、プライムによって活性化された意味的に関連する概念がターゲットとして処理されることになれば、すでに活性化していることによりその処理は促進され、反応時間が短くなると考えます。

 上下に表示された文字列の上のほうを先に処理すると考えれば、上記の例の「先生」がプライム(先行刺激)にあたり、これによって「学校」「教室」「学生」「授業」などの意味的に関連する概念が次々活性化されます。その後、文字列の下のほう「学生」を処理するとき、「学生」はプライムによってすでに活性化されているので反応が早くなります。

参考文献

 太田信夫・多鹿秀継(2000)『記憶研究の最前線』70-93頁.北大路書房




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