6月8日(土)から音声学の短期講座がはじまります。

令和5年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅱ 問題6解説

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令和5年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅱ 問題6解説

1番 わりはし

 「わりばし」が「わりはし」に。連濁してませんね!
 答えはcです。

 ちなみに転音は「雨(あめ)」と「あま」のようなやつ。母音交替ともいいます。
 音位転換は「ふんいき」が「ふいんき」になるやつ。
 連声は「かんおん」が「かんのん(観音)」になるやつ。

2番 了解する

 「互いの文化を了解する」と言ってます。これは中国母語話者によくある語彙の領域で起きた負の転移によるエラーです。
 中国語の「了解」は日本語の「理解」に近い意味を持ってます。だからこのように言います。
 答えはdです。

3番 帰れられるか

 「帰られるか」を「帰れられるか」と言いました。
 可能形がぐちゃぐちゃになってます。五段動詞「帰る」の語幹 kaer に、五段動詞の可能接辞 -e- をつけて、その後ろに一段動詞の可能接辞 -rare-(ru) をつけて「帰れられる」といってます。二重可能表現といってもいいかな。

 答えはaです。

4番 しられます

 「知られています」と言うべきなのに「知られます」と言いました。
 「ている」が無い。「ている」はアスペクト表現の一種なので答えはdです。

 アスペクト表現は簡単にいうと動作局面を表す表現のこと。
 「走っている」は「走る」という動作が今進行中の局面にあることを表します。だからこの「ている」は進行中のアスペクトを表す表現だ、と言われます。他にも「走るところだ」というと「走る」という動作の開始直前の局面を表せます。「~るところ」は動作の直前のアスペクトを表す表現です。

5番 でかけないでください

 従属節「とても暑くて」と主節「でかけないでください」の論理関係が明確になっていません。「でかけないでください」と命令している理由が「暑いから」なので、従属節は理由を表す標識があったほうがいいです。たとえば「ので」「から」などを使うとか。

 より自然にいうなら「とても暑いからでかけないでください」「とても暑いのででかけないでください」などでしょう。
 原因・理由の表現に誤りが見られますから、答えはbです。

6番 貸した

 「貸した」じゃなくて「借りた」が正しい。
 動詞のミス。答えはcです。

7番 ために

 「かけるために」じゃなくてじゃなくて「かけるように」が正しいです。
 これらは目的を表す表現だから、答えはb

8番 助けてあげた

 「助けてくれた」が「助けてあげた」となって誤りになりました。
 まず基本用語からですが、動詞がこんな感じで「て」を介在して2つ繋がり、後件が実質的な意味を失っているとこい、1つ目の方を本動詞、2つ目の方を補助動詞と言います。「助けてくれた」だったら「助けて」が本動詞、「くれた」が補助動詞です。
 この人の誤りは補助動詞「~くれた」が「~あげた」になった誤り。しかも「くれる」「あげる」などの授受動詞も混同してます。

 答えはbです。




コメント

コメント一覧 (2件)

  • 初めまして。
    のんびりさんのサイトを頼りに、10月から過去問に取り組み、昨日受験しました。
    そんな初心者が申し上げるのもなんですが‥。

    Ⅱ-6-5番
    「とてもあつくて でかけないでください」と、言っていたように思います。
    誤)「とても暑くて」 ⇒ 正)「とても暑いので」「とても暑いから」
    と判断して、「a原因・理由の表現の誤り」を選択しました。

    「とても暑いので 出かけないほうがいいですよ」が一番自然だと思われますが、
    どうしても、その前後に何と言っていたのか思い出せません。

    素人コメントと判断されれば、削除ください。

    • >安藤綾子さん
      そうでしたか。もしかしたら前の文脈で「ので」が正しかったのかもしれないですね…
      そう言われるとaかも。
      解説のほうに追加しておきます。ご指摘ありがとうございました!

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