蓋然性(probability)
命題が表す事態がどれほどの確からしさをもって成立しているかを蓋然性(probability)と言います。蓋然性(確からしさ)の程度によって、日本語では「かもしれない」「に違いない」「はずだ」などの形式が使い分けられ、これらは事態が成立する可能性や事態成立が必然性を帯びているという話し手の認識を表します。蓋然性は事態成立の可能性に関する認識を表す「かもしれない」「可能性がある」「恐れがある」などの形式と、事態成立の必然性に関する認識を表す「に違いない」「に決まっている」「はずだ」などの形式があり、いずれも事態が蓋然性を含んで成立していることを表しています。
(1) 彼は来るかもしれない。 (可能性)
(2) 彼は来る可能性がある。 (可能性)
(3) 彼は来る恐れがある。 (可能性)
(4) 彼は来るに違いない。 (必然性)
(5) 彼は来るに決まっている。 (必然性)
(6) 彼は来るはずだ。 (必然性)
全て「彼は来る」という命題部分が共通していますが、この命題に対する話し手の認識はそれぞれ異なります。例(1)~(3)は命題の事態が可能性のあることと認識しています。例(4)~(6)は命題の事態成立がほぼ間違いないと確信する話し手の認識が現れています。
参考文献
日本語記述文法研究会(2003)『現代日本語文法 4: 第8部モダリティ』133-178頁.くろしお出版
宮崎和人・安達太郎・野田春美・高梨信乃(2002)『モダリティ』142-152頁.くろしお出版
森山卓郎・仁田義雄・工藤浩(2000)『日本語の文法3 モダリティ』95頁.岩波書店
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