ミニマルぺア(minimal pair)
日本語には次のような単語があります。
(1) [tɑki]-[kɑki] (滝-柿)
(2) [kɑ]-[gɑ] (蚊-蛾)
(3) [kʌp]-[kæp] (カップ-帽子)
(1)は [t] と [k]、(2)は [k] と [g]、(3)は [ʌ] と [æ] で対立的分布をなしています。こうした「一つの音を除いて同一の音韻構造を持ち、かつ異なる意味を有する2語のこと」(窪園 1999: 72)をミニマルペア、最小対、最小対語(minimal pair)と言います。
ミニマルぺアが見つかれば同時に対立的分布も見つかります。対立的分布をなす2つの音はその言語の母語話者が区別して使い分けていることを示し、つまり2つの音は別々の音素に含まれると判定できます。上記の例でいうと、日本語では [t] と [k]、[k] と [g] が別の音素に含まれ、英語では [ʌ] と [æ] が別の音素に含まれる、と判定されます。
参考文献
窪園晴夫(1999)『日本語の音声』71-73頁.岩波書店
斎藤純男(2019)『日本語音声学入門 改訂版』159-160頁.三省堂
城生佰太郎(2008)『一般音声学講義』190頁.勉誠出版
菅原真理子(2014)『朝倉日英対照言語学シリーズ3 音韻論』11-12頁.朝倉出版
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