敬語(honorifics)
敬語は話し手と聞き手や話題になっている人物との上下関係や親疎関係(ウチとソト)を表す表現です。ここでいう親疎関係(solidarity)は親しさや連帯感などの横方向の関係で、上下関係(status)は目上か目下か、上位者か下位者かといった縦方向の関係を指します。
親しさを示して社会的距離を縮めたければ丁寧な言葉よりもくだけた表現を選び、距離を取りたい場合は丁寧な言葉や乱暴な言葉を選ぶことになります。一般に部下が上司に対して「です」「ます」を使って話すことは上下関係に基づいていますが、親しい人が自分に対して「です」「ます」を使ったら敬意を感じるよりも距離を感じる可能性が高いでしょう。それは上下関係ではなく親疎関係を重視した敬語の使い方と言えます。敬語は上下関係を重視して使われる場合もあれば親疎関係を重視して使われる場合もあり、人や関係性によって違います。
(1) どうされますか? (「する」の尊敬語「される」)
(2) 明日伺います。 (「行く」の謙譲語Ⅰ「伺う」)
(3) 確認いたします。 (「する」の謙譲語Ⅱ「いたす」)
(4) 私は佐藤です。 (「だ」の丁寧語「です」)
(5) お砂糖取って。 (「砂糖」の美化語「お砂糖」)
日本語では目下から目上には尊敬語を、自分の行為には謙譲語を使うことが期待されます。
参考文献
文化庁(2007)『敬語の指針』(https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kokugo/hokoku/pdf/keigo_tosin.pdf)
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