平成29年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題6解説

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平成29年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題6解説

問1 文字種

 文字種と聞いてぱっと思い付いたのは数字、漢語和語外来語(カタカナ)、アルファベットの5種類でした。とりあえずこの5つが各文に含まれているかどうか見ます。

数字 漢語 和語 外来語 英語
銀行 忘れた コーナー ATM
体重 減らす… km
時間 新しく… カラオケ
120 今週… ドル

 選択肢1は全て含まれています。それ以外は1つか2つ欠けていました。
 答えは1です。

問2 レディネス

 レディネスとは、学習者の学習条件のことです。学習者の母語や母文化、年齢、今までの学習期間、経済的要因、学習環境、学習スタイル、日々の学習時間、現在のレベル、外国語学習経験などなど…

選択肢1

 日本語の文字はとめ、はね、はらいなど細部の書き方も規範と関係しますが、とめ、はね、はらいのような書き方をする必要がない言語を母語とする学習者は日本語の文字を書くときにもそれらをないがしろに書く可能性があります。字形に関する転移ですね。この選択肢は正しいです。

選択肢2

 意味に触れずただ「木」を書かせて練習させるよりも、実際の木の形をかたどったからこの字形になったんです、みたいな説明をして練習したほうがいいと思う。この選択肢は不適当です。

選択肢3

 中国語では簡体字が、台湾では繁体字が使われています。これは日本語で使われている漢字とは字形が結構違います。
 「愛」を書くときに「爱」と書いてしまうのは母語の影響。この選択肢は正しいです。

選択肢4

 例えば「親」をそのまま一つの形として導入するよりも、「立」「木」「見」の漢字から構成されていることに注目させてそれぞれ書かせたほうが学習者にとっては分かりやすくなります。この選択肢は正しいです。

 よって答えは2

問3 五十音図の利点

選択肢1

 innovation をカタカナにすると「イノベーション」です。片仮名の五十音図を見ても「ベ」や「-」はありませんので、実は五十音図は日本語の音韻が網羅的に書いてあるわけではありません。五十音図があれば外来語の表記も容易に習得できるという部分が間違い。

選択肢2

 五十音図の二行目の母音は全て /i/、二列目の子音は全て /s/ であるように、母音と子音の組み合わせが一覧で分かります。学習者にとって理解しやすいようにまとめられています。

選択肢3

 五段動詞のナイ形はア行を使い、マス形はイ行を使います。このように五十音図は動詞の活用形、変化の規則を分かりやすく説明することができます。

選択肢4

 字形を見ながら音を確認し、音を聞いて書いてみるのような練習のときに五十音図は役に立つかと思います。

 答えは1です。

問4 連想法を用いたカード

 選択肢2のように、何らかのものと関連させて思い浮かばせるのが連想法です。こういう方法は実際の日本語教育の場で使われているのかは分かりませんが… ちょっと子どもっぽいので年少者向けなのかな。

 答えは2です。

問5 平仮名・片仮名や記号などの表記方法

 括弧、長音、促音・拗音は縦書きと横書きで表記方法が異なります。括弧と長音は方向が違いますし、促音・拗音は位置が異なり、縦書きの時はマス目の右上に、横書きの時はマス目の左下に書きます。
 一方濁点は変わりません。そのまま平仮名の右上に打てばいいだけ。

 答えは4です。




コメント

コメント一覧 (5件)

  • 今年の検定を受けるべく頑張っています。
    過去問を解いて、解答を見てもわけが分からない時に、頼りにさせていただいています。
    促音や拗音の小さい文字は、縦書きの場合、右上に書くと思います。(小学校で指導しておりました。)
    一度お調べくださいませ。

    • >nomadoさん
      ご指摘ありがとうございます。
      ホントですね、私が間違っていました! ちゃんと修正してきます!

  • ありがたく拝見しています。
    問題文の日本語がとても気になります。例えば「年少者の漢字の指導は」(問2選択肢2)は「年少者に対する」と書くべきでは。同選択肢3の「漢字圏の学習者は」は「漢字圏の学習者に(とって)は」でしょう。テニオハの使い方含め、意味不明の問題文が散見されるのですが、気になりませんか?

    • >匿名さん
      コメントありがとうございます。
      同じ意味を持つ複合助詞と格助詞はお互い言い換えられる関係にありますので、そのような記述でも何も問題はないと思っています。

  •  問題集を買ったとき、回答に解説が付いてなかったので、大変、たすかりました。
     回答もすましたお仕着せのものでなく、回答者のつぶやきや、コメントが添えてあり、おもしろく拝見させていただきました。ちょっと、クスッと笑える感じがいいですね

     現役で教えていらっしやるだけあって、中国の学習者は、どうだとか参考になります。
    今、29年度をやってますが、30年度、令和元年ものも期待してます。

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