外の関係
名詞修飾節は名詞修飾節内の述語と被修飾名詞との間に格関係があるかどうかで分類できます。格関係があるものを内の関係、ないものを外の関係と言います。外の関係の例として次の例文を見てください。
例 | 名詞修飾節内の述語と被修飾名詞の格関係 | ||
---|---|---|---|
(1) | 郵便物を入れる音 | なし | … 郵便物を入れる |
(2) | 人がいる気配 | なし | … 人がいる |
(3) | 電車に乗り遅れるシーン | なし | … 電車に乗り遅れる |
(4) | 定時で帰れる喜び | なし | … 定時で帰れる |
(5) | 私には無理という思い込み | なし | … 私には無理 |
(6) | 女性が家事をするという考え | なし | … 女性が家事をする |
(7) | 鉄が磁石につく(という)性質 | なし | … 鉄が磁石につく |
(8) | 彼女が座った後ろ | なし | … 彼女が座った |
(9) | 友達を驚かそうとした結果 | なし | … 友達を驚かそうとした |
外の関係にある名詞修飾節と被修飾名詞は、名詞修飾節内の述語と被修飾名詞との間に格関係を持ちません。例えば(1)における名詞修飾節内の述語「入れる」と被修飾名詞「音」の間には格関係がないので、「?音が郵便物を入れる」「?音を郵便物を入れる」「?音に郵便物を入れる」のように様々な格助詞を用いて文を作ったとしてもそのどれもが非文になります。名詞修飾節内の述語は被修飾名詞を格成分としてとることができないため、このような言い換えができません。
参考文献
リンク
庵功雄(2001)『新しい日本語学入門―ことばのしくみを考える』222-223頁.スリーエーネットワーク
日本語記述文法研究会(2008)『現代日本語文法6 第11部 複文』43-51頁.くろしお出版
森山卓郎,渋谷勝己(2020)『明解日本語学辞典』87-88頁.三省堂
コメント