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平成25年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題6解説

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平成25年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題6解説

問1 習慣形成理論

 1 項目応答理論
 wikipediaの説明が非常に分かりやすいので引用します。

例えば、4択問題100問、配点が1問につき10点で構成され、600点で合格出来るテストを考える。この場合、全く問題に対する知識がない者でも、全ての選択肢を埋める事が出来れば理論上250点は正解出来てしまい、テストが50問ずつ違うジャンルで構成されている場合は片方のみ完璧に仕上げれば、後はまぐれ当たりでも理論的には合格できてしまう。また、きちんとした知識があれば50問のうち大半が正解できて然るべき問題群で12問前後当てられてしまう事もあり、正確な実力判定が難しくなる。 さらに、平均点が低い=実力不足なのか問題が難しかったのかという判定も相対的な尺度でしか確認できず(逆も同じ)、例えば1000点満点獲得した受験者は500点の受験者に比べて単純に実力が2倍あるという訳ではない。
 
 項目応答理論ではこう言った運や問題の難易度による実力判定の困難さをもたらす要素をなるべく排除し、受験者の実力を正確に測ろうとする理論と言える。具体的には下記のモデルを用い、例えば10問の問題群で知識があれば8問以上解けて然るべき問題で散発的にしか正解出来ない場合はまぐれ当たりとみなし、1問あたりの配点を10点未満にするという処置を取れる。
 - 項目応答理論 – Wikipediaより

 2 統率・束縛理論
 統率・束縛理論(GB理論/Government and Binding Theory)とは、チョムスキーが唱えた文法理論で、言語は普遍的な有限の「原理」と、個別言語ごとに規定された値の変動する「パラメータ」から成ると仮定した理論のことです。原理とパラメータのアプローチとも呼ばれます。

 3 処理可能性理論/学習可能性理論 (Processability Theory)
 ピーネマン (Pienemann)が提唱した仮説で、人は言語処理レベルが単純なものから習得し、複雑なものほど後に習得されるというもの。語は最も単純で習得しやすいが、句や文になると複雑になるので習得しにくいとされている。

 4 習慣形成理論
 行動主義(行動主義心理学)とは、20世紀前半に主流をなした心理学のアプローチの一つで、心というものの存在を認めず、客観的に観察できる行動に焦点を当て、刺激と反応の関係を重視しています。この行動主義で有名な実験として、イワン・パブロフによる古典的条件づけやスキナーによる道具的条件づけ(オペラント条件づけ)などがあります。これらはいずれも行動主義心理学の基本的な理論です。特にスキナーの道具的条件づけ(オペラント条件づけ)は、行動主義と区別して新行動主義心理学と位置づけられています。

 古典的条件づけとは、遺伝的に組み込まれた反応と、無関係な反応とを結びつける条件づけのことです。犬にエサを与える前にベルを鳴らすことで、次第にベルの音を聞くだけで唾液を分泌するようになるという条件反射がもととなった理論です。

 道具的条件づけ(オペラント条件づけ)とは、報酬や罰に適応して自発的にある行動を行うように学習することです。エサの出るレバーを押すとエサが出てくるという箱の中にマウスを入れると、マウスは自発的にレバーを押すようになるという実験がもととなった理論です。

 行動主義に基づく学習理論として、習慣形成理論があります。
 習慣形成理論とは、習慣は特定の刺激と反応が結び付いたものであり、刺激と反応が強化されると習慣形成しやすくなるとする理論です。無意識かつ自動的、反射的に口頭で発話するためには習慣を形成することが必要であり、そのためには反復が必要であるという考えから、オーディオ・リンガル・メソッドのミムメム練習やパターン・プラクティスなどが開発されました。

 したがって答えは4です。

問2 社会的構成主義

 1 社会的構成主義
 前述の行動主義は、学習は受動的なものであり、教師によって知識が与えられるという立場です。これを見直そうとして考えられたのが社会的構成主義(構成主義)です。社会的構成主義では、学習は能動的なものであり、個人的なものではなく、それ自体は社会的な営みの一部として捉えます。ヴィゴツキー(L.S. Vygotsky)らによって提唱されました。

 2 相互交流主義理論
 不明

 3 論理実証主義
 「経験主義―数学的構成物と論理・言語学的な構成物とを融合させた知識を伴う種類の合理主義には実験に基づいた証拠が必要だとする考え」のことです。
  - 論理実証主義 – Wikipediaより

 4 新行動主義
 行動主義(行動主義心理学)とは、20世紀前半に主流をなした心理学のアプローチの一つで、心というものの存在を認めず、客観的に観察できる行動に焦点を当て、刺激と反応の関係を重視しています。この行動主義で有名な実験として、イワン・パブロフによる古典的条件づけやスキナーによる道具的条件づけ(オペラント条件づけ)などがあります。これらはいずれも行動主義心理学の基本的な理論です。特にスキナーの道具的条件づけ(オペラント条件づけ)は、行動主義と区別して新行動主義心理学と位置づけられています。

 したがって答えは1です。

問3 それまでの絶対的な知識観

 行動主義から社会的構成主義へ移り変わることで、それまでの絶対的な知識観が崩壊しました。ここでは行動主義に基づく教育の考え方について問う問題となっています。

 1 「学習者中心」ということは「能動的に学習する」ということです。学習は能動的なものであると捉えているのは社会的構成主義です。よって間違いです。
 2 正しいです。
 3 正しいです。
 4 正しいです。

 したがって答えは1です。

問4 メタ認知

 1 情報リテラシー
 情報リテラシーとは、自らの目的を達するために適切に情報を活用することができる基礎的な知識や技能のことです。

 2 演繹的思考
 演繹的思考/帰納的思考は、結論と根拠を結びつける思考法のことです。
 演繹的思考とは、普遍的な前提から、具体的な結論を導き出す思考法です。
 帰納的思考とは、具体的な事実から、普遍的な結論を導き出す思考法です。

 3 拡散的思考
 拡散的思考とは、既知の情報から様々な方面に考えを拡散させ、新たな考えを生み出す思考方法で、ブレーンストーミングなどのアイディアを生み出すときに用いられます。その反対に収束的思考があります。
 収束的思考とは、既知の情報から論理的に思考を進めていき、唯一の早く正しく到達するための思考方法です。数学などで用いられます。

 4 メタ認知
 メタ認知とは、自分自身の認知行動を把握することです。

 したがって答えは4です。

問5 教師の役割の変化

 構成主義に変わったことで教師の役割はどのように変化したかについて考えます。

 1 モデルを示しトレーニングを行うのは、学習者主体、能動的ではありません。これは行動主義に基づく考え方であって、構成主義とは関係ありません。
 2 ここでのエンパワーメントは勇気づけるなどという意味になります。構成主義では学習者が能動的に学習することを勧め、教師は教育者としてではなく、学生を勇気づけるなどの支援者としての立場が求められるようになりました。。
 3 構成主義では学習者が能動的に学習することを勧め、教師は教育者としてではなく、教育の場をコーディネートすることが求められるようになりました。
 4 構成主義では学習者が能動的に学習することを勧め、教師は教育者としてではなく、ファシリテーター(促進者)として立ちまわることが求められるようになりました。

 したがって答えは1です。




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