6月8日(土)から音声学の短期講座がはじまります。

令和元年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題6解説

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令和元年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題6解説

問1 「~ていく」の用法

 「くだものを持っていきます」の「持って」は「持った状態で」とか「持ちながら」と言い換えられます。つまり付帯状況を表すテ。このような言い換えが同じようにできるものを探しましょう

 1 ✕花びらが散りながらいく
 2 ✕今後も増えながらいく
 3 〇子どもを連れながらいく
 4 ✕少し食べながらいく

 「ながら」に言い換えられた選択肢3が仲間。
 答えは3です。

問2 自己評価で期待される効果

 目標が達成できたかどうかをチェックリストを見て自己評価することによって期待される効果は?

選択肢1

 自己評価を他人と共有することは普通ないです。<資料>を見る限りもない。だから自己評価させることで他人との達成度の違いを認識することは普通できません。この選択肢は間違い。

選択肢2

 正しいです。自分がどのくらい目標に近づいたか、目標を達成できたかを自己評価することで明らかにできます。

選択肢3

 正しいです。自己評価で自分がどのくらいできたかを把握し、自分に足りない部分も分かります。すると次に何をすべきかも見えてきて、動機づけを高められます。

選択肢4

 正しいです。自己評価をさせると目標を達成できたかどうかを意識させることに繋がります。学習者にとっては授業に参加した意義がはっきり分かり、次回の授業以降も目標に対する意識が醸成されるかも。

 したがって答えは1です。

問3 教案作成上の留意点

選択肢1

 正しいです。授業は45分とか90分とか限られた時間で行います。最初に何をやって次に何をやって… と大体の時間を想定してそのように進めていかないと終盤やりたいことができなくなってしまいます。私は5分単位くらいで刻んで管理するようにはしています。

選択肢2

 正しいです。例えば「~つもり」を習得するという目標があったとしたら、「~つもり」を使わせる活動、たとえば今後の予定を話させるとかそういう関連した活動を授業で行う必要があります。

選択肢3

 学生には自由に発話してほしいので、ある程度自由な発話を引き出すことは良いこと。でもあまりに自由すぎてその課で扱う内容から外れてしまうと収拾がつかなくなって時間が延び… なんてこともあります。学習者の発話は想定しておいて、その想定から外れるようであれば臨機応変にその課の内容に戻ってくるような授業運営が求められます。

選択肢4

 その課で扱った内容に加え、それまでに学んだことも行かせるような活動が設定できれば教案として完璧。昔の授業と今の授業の関連性に配慮することは正しいです。

 したがって答えは3です。

問4 理由

 目標は「計画を立てるための話し合いができる」なのに、この教案だと一人ずつ「私は、◯◯を持っていきます」と言うだけで話し合いしてません。確かにインターアクションの機会がない。この点をY先生は一瞬で見極めたんですね。すごい。

 答えは4です。

問5 改善方法

選択肢1

 教案を改善するなら問題解決の観点を複数あげて、それらを解決するために複数の考え方を取り入れたほうがいいと思う。この選択肢は間違い。

選択肢2

 教案はどうせ完璧に作れないので、とりあえずは大きな問題点だけをどうにか直しておきたい。それほど大きな問題が生じない小さい問題点は放置してもいいです。日本語教師は教案を作るためにたくさん時間を割きます。長く続けていくためには100%じゃなくて、70%くらいの教案で大丈夫です! この選択肢は間違い。

選択肢3

 社会は変化してるのに教科書は変化しないなんてことは本当によくあります。現金での払い方を覚えるのも重要ですが、今ではキャッシュレス決済が普及しているからそれも教えたい。でも市販の教科書にはそれが反映されていなかったりします。
 教案には社会や言語教育観の変化は積極的に取り入れるべきです。

選択肢4

 その通り。

 答えは4です。

 




コメント

コメント一覧 (1件)

  • 発表された問題1の正答は3でした。 私はあまり難しいことは考えず、「いく」に本来の動作を示す「~へ行く」という意味があるか否かで選別しました。 3のみが、この本来の移動を示す「行く」という意味が残っているような気がします。 4は「食べてから行く」ということではなく、「食べてしまう」という意味だと思います。 1と2は、移動の意味は全くありません。

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