離合詞(离合词)
中国語の動詞を音節の数で分けると、一音節のものと二音節のものに分けられます。うち、二音節からなる動詞の一部には、一つ目の形態素と二つ目の形態素が分離し、その間に「了」「着」「过」「不」「得」や量詞などが割り込むものが見られます。これを離合詞(离合词 líhécí)と言います。
(1) 他结过婚。
(彼は結婚したことがある。)
(2) 她洗完了澡。
(彼女はシャワーを浴び終わった。)
(3) 他毕不了业。
(彼は卒業できない。)
一音節動詞「钓 diào」も二音節動詞「欺骗 qīpiàn」もその後ろに経験を表す「过」がつき、さらに目的語が後接して「他钓过鱼(彼は魚を釣ったことがある)」や「她欺骗过他(彼女は彼を騙したことがある)」と言えます。しかし、二音節動詞「结婚 jiéhūn」はその後ろに「过」も目的語も置くことができません。経験を表したい場合は、一つ目の形態素「结」と二つ目の形態素「婚」の間に「过」が割り込み、例文(1)のようになります。このことから、(1)~(3)に見られる離合詞はそれ全体が【VO(動詞+目的語)】の構造を取っていると考えられます。
(4)a 他上了两天班。 (離合詞)
b *他上班了两天。
(5)a *他工了两天作。 (離合詞ではない)
b 他工作了两天。
「上班 shàngbān」と「工作 gōngzuò」は同じく「仕事をする」という意味ですが、前者は離合詞なので(4b)のように言うことはできず、後者は離合詞ではないので(5a)のように言うことはできません。
参考文献
李臨定(著)・宮田一郎(訳)(1993)『中国語文法概論』光生館
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