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重言とは?

重言

 重言とは、同じ意味が含まれていることばを重ねて使う言い方のことです。重言の例としてよく挙げられるのは「頭痛が痛い」で、これを誤用とする立場では、頭が痛いことを表す「頭痛」が述語の「痛い」と意味的に重複していることが指摘されます。しかし、実際重言の中には、誤用と認識されやすいものから正用と認識されつつあるもの、正用として十分に定着しているものまで幅広く見られます。例えば、文化庁の平成28年度「国語に関する世論調査」では、「あとで後悔した」には49.5%、「一番最後」には48.7%の人が気になる言い方であると答えている一方、「従来から」は22.9%と低く、71.7%の人が気にならないと答えています。

 「違和感を感じる」「被害を被る」なども気になる、気にならないの議論の対象にされますが、これらはその人が当該重言の語構成をどう捉えるかによって感じ方が異なることに起因します。「違和感」が「違和」と「感」からなる語であると分析的に捉える場合は、その後ろに「感じる」が置かれることで意味的重複が気になるでしょうが、「違和感」という語を一語として捉えてそれ以上分析しない場合は、「違和感を感じる」における意味的重複が気になりにくいです(沖森 2017)。

 十分定着してきている「従来から」がその意味の重複に気づかず使われていることから見ても、重言をその意味的重複をもって誤用とするのは難しいでしょう。

尽力尽くして

 「尽力を尽くす」と言ってますが、これも重言ですね。

参考文献

 沖森卓也・肥爪周二(2017)『漢語』104-106頁.朝倉書店
 山田忠雄(2012)『新明解国語辞典 第七版 小型版』三省堂

 平成28年度「国語に関する世論調査」の結果の概要




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