平成28年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題1(5)解説
(5)連体詞
連体詞は品詞の中でも結構マイナーなので知らない人も聞いたことはあっても詳しくしらない人もいるかもしれません。大切な特徴として2つ覚えておきたいことがあって、まず一つはそれ自体に活用はないこと、もう一つは必ず名詞を修飾することです。
この2つの基準で各選択肢を見て見ましょう。
選択肢1
「この」は活用のしようがない語で、しかも「このもの」「この話」「この花」などと必ず名詞を修飾します。「この嬉しい」「この食べる」などとは言えません。
「この」は連体詞です。
選択肢2
「あらゆる」は「る」で終わっているから動詞のように見えるんですが、「あらゆらない」とか「あらゆります」とか活用はできないです。常に「あらゆる」という形で使います。また「あらゆる人」「あらゆること」「あらゆる方法」などと名詞にしか接続しません。
「あらゆる」は連体詞です。
選択肢3
「いろんな」は「な」で終わっているので見かけ上ナ形容詞に見えます。これは罠。
「綺麗な花」「色々な花」などのナ形容詞は、名詞を修飾するときに「な」が現れます。「な」が無くても残りの部分はナ形容詞語幹と呼ばれる部分が残り、それだけで「だ」などをつけて述語になれる特徴を持っています。つまり「綺麗だ」「色々だ」とか言えるってことです。
しかし「いろんな花」は「いろんだ」とは言えません。この「な」はどうやら取り除くことができなくて「いろんな」で一つの語のようです。「いろんだ」「いろんではない」などと活用できませんから。
「いろんな」は連体詞です。
選択肢4
「わが」は活用がないし、「我が息子」などと必ず名詞に接続します。
「わが」は連体詞です。
選択肢5
「同じ」は確かに「同じ人」「同じ色」「同じ道」などと必ず名詞に接続するんですが、「同じく」「同じだ」「同じで」などと活用するので、連体詞の”活用しない”という特徴に反します。
「同じ」は名詞を修飾するときに「な」が現れないタイプの例外のナ形容詞です。
したがって答えは5です。
コメント
コメント一覧 (2件)
見逃したかもしれませんが、語尾にながついて、連体修飾するものには、妙な、とか、変な のような形容詞もあるので、活用してだが付くものは除く、のような注記が必要ではないですか?
>佐久間さん
ご指摘ありがとうございます!
そちらの詳しい説明は意図的に省いています。この問題はその点を問う問題ではなかったためです。
また、連体詞は活用をしないというところからも「変な」や「妙な」が連体詞ではないと分かります。