6月8日(土)から音声学の短期講座がはじまります。

平成30年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題13解説

目次

平成30年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題13解説

問1 言語景観

選択肢1

 アコモデーション理論における、自分の話し方を相手の話し方にできるだけ近付けていくことです。ティーチャートーク、フォリナートーク、ベビートークなどなど。

選択肢2

 ダイグロシアとは、ある社会で2つの言語が存在し、状況に応じてそれらを使い分けている状態のことです。

選択肢3

 街頭、公共施設、店舗などに見られる言語表記のこと。

選択肢4

 ???

 ここでは道路表記、広告看板などの総体ですから一番近いのは言語景観。
 答えは3です。

問2 多言語表示

 いろんな言語で表示されるのが多言語表示。駅の中にたくさんあります。次の画像は日本語はもちろんあるし、英語も韓国語も中国語も書いてます。

選択肢1

 多言語表示はその地域に住んでいる外国人居住者の母語にしたがって設置されますので、使用者の存在をアピールする機能はあります。

選択肢2

 個人が設置する看板などの表示は自由です。恣意的に決められます。

選択肢3

 例えば「げんき書店」を「Genki Shoten」と表示したりすると、ローマ字が持つ近代的、スマート、カッコいいみたいなイメージを借りることになり、日本人に向けたアピールになることもあります。しかし「Genki Shoten」では外国人に意味が伝わりません。これは多言語表示とは言いません。多言語表示するのであれば「Genki Book Store」とすべき。この選択肢は間違い。

選択肢4


 例えば↑の画像では日本語で「関係者以外立ち入り禁止」と書かれている一方、英語では「WARNING(警告)」と書かれていています。全く違う内容を伝えているのでこの選択肢は正しいです。;

 したがって答えは3

問3 音と意味ともに十分な情報を提供する案内板の多言語表示

 本来の「音」と「意味」が同時に提供されてるものを探します。

選択肢1

 「大阪神社」の音「Osaka-jinja」があります。
 「神社」を表す「Shrine」もしっかり表記されているので多言語表示として意味があります。
 これが答え。

選択肢2

 意味は「Tokyo Brdg.」で表せてますが、「Hashi」がないので音が表せてません。

選択肢3

 「駅」を表す「Station」がありません。「Eki」だけでは外国人に伝えられないので多言語表示として不適切です。

選択肢4

 意味は表示されてますが、音「Daigaku-Kaikan」がありません。

 答えは1です。

問4 観光目的で日本を訪れる外国人

 観光客の数は「訪日外客統計|JNTO(日本政府観光局)」で見られます。この問題に関係するのは「訪日外客数(2017 年 12 月および年間推計値)」で、2ページにはこのような記載があります。

 一番多いのは中国で735万人、次に韓国で714万人でした。マレーシアは44万人くらい、チリやペルーなどの記載はありません。
 したがって答えは2です。

問5 ピクトグラム

 下線部Dの言語の代わりになる絵や図はピクトグラムのことを指しています。明度差のある2色を用いて表示されるサインで、何らかの情報や注意を単純な絵や図にして表現します。次の画像のような非常口などのサインが代表的です。

選択肢1

 手話を身につけてない、孤立している聴覚障害者が、ごく身近な人とコミュニケーションする時に使用する身振り手振りのこと。

選択肢2

 電子看板とも呼ばれます。表示と通信にデジタル技術を活用して平面ディスプレイやプロジェクタなどによって映像や文字を表示する情報・広告媒体のこと。空港や複合商業施設などに、タッチして操作することができる看板や案内板などが設置されてますが、それです。

選択肢3

 ハイパーテキストとは、コンピュータを利用した文書作成・閲覧システムの一つで、文書内の任意の位置や要素に、他の文書への参照(所在情報や識別情報)を埋め込み、複数の文書を相互に結びつけたもの。

選択肢4

 これが答え!

 答えは4です。

 




コメント

コメント一覧 (2件)

  • いつも大変お世話になっております。

    問2について質問があるのですが、私も3が不適当と判断したのですが、その理由は日本語をローマ字表記することは多言語表示ではないからと考えたからです。文字を表記する際、「ひらがな」「カタカナ」「漢字」「ローマ字」のどれを選択するかは、あくまで日本語に存在する文字種の選択なだけなので、「多言語」ではないのでは?と思いました。例えば、「げんき書店」を「Genki Book Store」と表記するのは多言語表示といえますが、「Genki Shoten」と表記した場合(あまり現実的でなはいですが)、これは多言語表示なのでしょうか?

    また当該選択肢は

    多言語表示には、日本語の店名をローマ字表記することで、日本人が日本人に戦略的にアピールするもの「も」ある。

    となっており、ローマ字表記をする目的は日本人に向けた戦略的なものだけでなく、外国人への配慮もあるということが暗示されていると解釈することもできるので、選択肢の後半部分は問題ないと考えました。

    しかし、ローマ字は日本語の文字種の1つなのか、別の言語と捉えるかの私の認識が誤っている可能性も大いにあるので、質問させていただいた次第です。ご回答いただけたら幸いです。

  • >しょうじんさん
    コメントありがとうございます!
    なるほど! げんき書店の例、genki shotenだと確かに多言語表示ではありませんね。分かりやすいご指摘助かりました。
    内容はコメントの一部をお借りして修正しておきます。これからもよろしくお願いします。

コメントする

目次