6月8日(土)から音声学の短期講座がはじまります。

平成27年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題16解説

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平成27年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題16解説

問1 多言語情報提供

 1 個人経営のお店とかコンビニの張り紙なんかでも多言語表示があります。母語話者にお願いできなければ機械翻訳することもあります。精度は完璧ではありませんし、正しく自然な表現でないものもありますが、多言語表示は表示してあることに意味があります。
 2 正しいです。最もメジャーな英語と、周辺国の言語で表示されていることがほとんどです。
 3 国勢調査のデータに基づいてではなく、その地域に住んでいる外国人の層を見て提供する言語を決めているはずです。
 4 全国の自治体でどのくらいの割合が多言語情報提供しているかですが… 2008年6月時点の調査によると、47都道府県の全てのWebサイトで英語にも対応していたようです。つまり100%。

 したがって答えは2です。

 参考:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jasi/23/0/23_0_118/_pdf

問2 グローバルコミュニケーション計画

 「グローバルコミュニケーション計画」については、グローバルコミュニケーション計画~多言語音声翻訳システムの社会実装~について書かれています。

(1) グローバルで自由な交流の実現
様々な会話を高精度に翻訳できる多言語音声翻訳システムにより世界の「言葉の壁」をなくし、世界中の誰もが国境を越えて自由に交流する社会を我が国の技術によって実現する。
 
(2)日本のプレゼンス向上
医療機関での会話の支援や多言語での災害情報の配信など、多言語音声翻訳システムを世界に先駆けて社会実装することにより、外国人が暮らしやすい国を実現し、日本の価値と魅力を高める。
 
(3)東京オリンピック・パラリンピックでの「おもてなし」
2020年の東京オリンピック・パラリンピックにおいて、観客多言語音声翻訳システムにより世界から集う選手、等を「言葉の壁」を感じさせることなく「おもてなし」する。

 1 「多言語音声翻訳システム」という言葉は(1)にそのまま乗ってます。
 2 「医療機関での会話の支援」という記述があり、これと合致します。
 3 地上波テレビの多言語は上記3つの中に含まれてません。
 4 「観光案内」という言葉はないんですが、(3)にこれと似ている内容が書かれてます。

 したがって答えは3です。

 こういう問題は勉強するのが困難なのであてずっぽうです。もっともらしいものを自分の感覚で選んでいくしかないので、外れてもしょうがないですね。

問3 やさしい日本語

 やさしい日本語
 日本語に不慣れな外国人にも理解できるよう分かりやすくした日本語のこと。1995年1月の阪神・淡路大震災で日本語に不慣れな外国人に必要な情報を伝えることができなかったことがきっかけとなり、災害発生時に適切な行動をとれるように考え出された。

 1 全ての外国人に対して母語で情報を伝えることが一番理想的ですが現実的には不可能。だから「やさしい日本語」が導入されるようになりました。
 2 専門家資格はありません。やさしい日本語に直すルールがあるので、そのルールに沿ってそれぞれ翻訳すればいいだけです。
 3 導入効果は認められています。「測定」が間違い。
 4 「やさしい日本語」の必要性が論じられ始めたのは、1995年1月の阪神・淡路大震災以降です。

 したがって答えは1です。

問4 ウェブ媒体を用いた「やさしい日本語」による情報提供

 1 NEWS WEB EASY
 2 MATCHA
 3 Hiragana Times
 4 nippon.com

 1、2、3は「やさしい日本語」が使われ、ルビがふられています。
 したがって答えは4です。

 これ正解するの無理じゃない? 相変わらず満点取らせる気ないよね…

問5 フォリナー・トーク

 フォリナートークとは、母語話者が非母語話者に対してする話し方のことで、簡単な語彙や文法を扱って分かりやすいように話すのが特徴です。スピードも遅くなったり、繰り返したりします。

選択肢1

 フォリナートークは相手が分かりやすいよう、相手に伝わりやすいように調整された話し方です。つまりその相手と距離を縮めようとしています。心理的距離を縮めようとする話し方です。

選択肢2

 その通りです。外国人との接触経験が豊富だと、どのような言い方が伝わりやすいのか等について詳しくなります。経験が増えれば触れるほどフォリナートークの用い方も変わってきます。

選択肢3

 初級や中級の場合はまだまだある程度フォリナートークが必要で、相手もフォリナートークで話してくれないと理解できないという場面もあります。ただ上級になると「もっと母語話者のように自然な日本語を話したい」という考えから、フォリナートークで話されることを嫌う人もいます。流暢で自然な表現を学びたいと思っている学習者はフォリナートークに好意的でない可能性があります。

選択肢4

 フォリナートークとティーチャートークは別物です。
 フォリナートークは母語話者の非母語話者に対する話し方で、ティーチャートークは教師の学習者に対する話し方です。
 教師は学習者に対して砕けた表現(非文法的な表現)はあまり使いませんが、フォリナートークではそういう話し方がされることもあります。なぜならフォリナートークの話者は教師とは限らないからです。

 したがって答えは2です。




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