平成24年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題3E解説
(17)格助詞「を」の用法
格助詞「を」の用法は3つと言われてます。
(1) 写真を撮る。 <他動詞の対象>
(2) 家を出る。 <出発点>
(3) 橋を渡る。 <経路>
「はしごを上る」の「を」はこのうち<経路>です。
答えは3。
(18)「に」と「へ」の違い
「に」と「へ」を比べ、「へ」にだけ当てはまる条件を見つけます。
選択肢1
◯学校には行かない。
◯学校へは行かない。
「には」「へは」と言えるので共通する特徴です。
選択肢2
✕学校にの道
◯学校への道
「にの」とは言えませんが「への」とは言えます。
「の」で名詞を修飾できるのは「へ」にしかない特徴なのでこれが答え。
選択肢3
◯雪が雨に変わる
◯雪が雨へ変わる
物理的な移動の到着点や方向を表すときは「学校に行く」「学校へ行く」のように「に」も「へ」も使えます。
物理的な移動ではなく、変化の結果を表すようなときでも「雨に変わる」「雨へ変わる」とどっちも使えます。
共通する特徴だからこの選択肢は間違い。
選択肢4
◯南に行く
◯南へ行く
方向「南」を使って例文を作ったらどっちでも言えるのでこの選択肢は間違い。
答えは2です。
(19)主体の存在場所を表す働き
格助詞「に」に注目して、その意味をみます。
1 方向を表す「に」 (揚げる方向が「大空」)
2 物の移動の到着点「に」 (置く場所が「机の上」)
3 移動の到着点を表す「に」(入学の到着点が「インターナショナルスクール」)
4 存在する場所を表す「に」(住む場所が「北海道」
選択肢4の「住む」は存在動詞で、存在主体をガ格、存在場所をニ格で表します。ニ格で示された「北海道」は述語の存在場所なのでこれが答え。「空に飛行機雲があります」「私には妹がいる」などの「に」と同じです。
答えは4。
(20)動作や出来事が起こる場所を表す働き
格助詞「で」の用法についてはこちら。
1 動作の場所を表す「で」
2 動作の場所を表す「で」
3 動作の主体を表す「で」
4 動作の場所を表す「で」
選択肢1の述語「ある」は存在動詞ではなく、意味的には「行う」などの動作動詞と同じです。その動作が行われる場所は「で」で表されていて、それが「病院」です。
選択肢2の述語「行う」も動作動詞で、その場所が「警察(署)」です。
選択肢3の述語「行く」も動作動詞ですが、デ格名詞「学校(の人たち)」は動作場所という解釈はされません。なぜなら「学校という場所で遠足に行きました」とは言えないから。「学校」は「行く」という動作を行う主体なので、「学校の人が遠足に行きました」と同じ主体を表す「が」に言い換えられます。この「で」は主体を表します。
選択肢4は述語「起きる」の場所が「図書館」だから、この「で」は動作場所。
動作の主体を表す「で」は、他にも「一人で散歩する」「クラス全員で会議をする」などがあります
答えは3です。
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