文法化(grammaticalization)
文法化(grammaticalization)とは、「もともと内容語だったものが、次第に機能語としての文法的な特質、役割を担うようになる現象」(河上 1996:179-180)のことです。フランスの言語学者 Antoine Meillet(1912)が造った語です。
『明鏡 国語辞典』によると、「見る」は「目の働きによって物の存在や動きをとらえる」とあります。「見る」を本動詞として使うと典型的にはこの意味を表します。
(1) 映画を見て、夕飯食べて帰る。
(2) 最終話を見た。
(3) 一人でも多くの人に見てほしいです。
しかし、「見る」を補助動詞として使っている次の例は、本動詞が持つ”視覚情報の処理”としての意味が薄れて抽象的な意味を表すようになり、文の中で文法的な役割を担うようになっています。これが文法化です。
(4) 一度やってみたらどうですか?
(5) 先生に聞いてみたら詳しく説明してくれた。
(6) 子供の未来は親にしてみても心配だ。
英語の文法化として go が有名です。もともと物理的移動を表す go が be going to という形で使われるとき、この go もはや物理的移動の意味はなく、未来時制を表す助動詞として文法的な役割を担うようになっています。他にも、
(7) I go to school every day.
私は毎日学校に行きます。
(8) She is going to study abroad next year.
彼女は来年、留学するつもりです。
参考文献
河上誓作(1996)『認知言語学の基礎』179-194頁.研究社出版
吉村公宏(2004)『はじめての認知言語学』134-138頁.研究社

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