6月8日(土)から音声学の短期講座がはじまります。

内容語と機能語について

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内容語と機能語

 ことばは大きく分けて、内容語(content word)と機能語(function word)の2つに分けられます。

 内容語(content word)とは、名詞、動詞、形容詞、副詞のような事物や行為、属性、様態などを表す具体的な語彙的意味を持ち、典型的にはそれ自体独立して用いることができる語、あるいはそのような語の集合のことです。内容語に分類される語は新語・流行語なんかを見ても分かるようにどんどん生まれ、変化していますだから「開いた語類」「開かれた語系」「開いた集合」なんて言われることもあります。

 名詞:地球、星、宇宙、ブラックホール
 動詞:回る、光る、広がる、吸う
 形容詞:丸い、明るい、大きい、黒い
 副詞:ぐるぐる、ピカピカ、とても、どっしり

 機能語(function word)とは、側置詞前置詞後置詞)、助詞、接続詞、助動詞、冠詞、接辞などの、それ自体が内容語と共に用いられたり、文と文の間で用いて文法的な役割を表す抽象的な意味を持った語、あるいはそのような語の集合のことです。機能語に分類される語はそう簡単に生まれたりしないし、その意味を変化させることもありません。長期的に見ると文法化によって内容語が機能語になることもありますが… だから「閉じた語類」「閉じた語系」「閉じた集合」なんて言われることもあります。

 助詞:~は、~が、~の、~と、~によって、~も、~のに、~よ…
 接続詞:それで、なぜなら、そして、または、ところで、ただし…
 助動詞:~らしい、~ようだ、~ます、~です…
 接辞:~さ(明るさ)、~み(深み)、お~(お車)、~さん(佐藤さん)…

内容語と機能語の比較

内容語 機能語
意味 具体的 抽象的
語形 長いのもある 短い
多い 少ない
使用頻度 低い 低い

 内容語は具体的な意味、機能語は抽象的な意味を表します。例えば「空」「川」「ビル」「壁」などの内容語は具体的な事物を指し、具体的な意味を担っていますが、機能語は可能の「ことができる」、推測の「~だろう」、前件と後件の論理的関係(原因)を表す「なぜなら」などと抽象的で、文の中で文法的機能を果たします。
 内容語はその語形が短いこともありますが長くなることがもあります。「蚊」「川」など1、2拍のものから、「承る」「コミュニケーション」など6、7拍のものもまで。でも機能語は助詞の「が」「さえ」など短いのが多いです。
 内容語の数は機能語より多いです。例えば日本語で、内容語である名詞を全部数え上げろって言ったらまず無理ですが、機能語である格助詞の数はいくつかと言ったら数えられます。動詞の数を全部数えるのは無理ですが、助動詞の数は数えられます。使用頻度でいうと機能語のほうが高いです。例えば「彼が出世をしたことが気にくわない」には格助詞「が」が2回出現しています。一方、内容語「彼」「出世」などは1回だけ。

参考文献

 河上誓作(1996)『認知言語学の基礎』179-194頁.研究社出版
 吉村公宏(2004)『はじめての認知言語学』研究社




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