CLIL(Content and Language Integrated Learning:内容言語統合型学習)
CLIL(Content and Language Integrated Learning:内容言語統合型学習)とは、「言語教育と他教科などの内容教育とを統合した形で行う教育方法の総称」(和泉 2016: 72)で、社会や理科、時事問題などを内容教育として扱いながらその場面や状況の中で目標言語で活動を行い、4技能(聞く、話す、読む、書く)を身につけようとする言語教育のアプローチです。言語表現は特定の文脈に依存して用いられることで伝達されるものですが、従来の言語教育は文型を重視した結果、個々の表現がそれが使われる文脈から切り離されてしまい、文脈に適合する語用論的に適切な表現を学ぶことが優先されていませんでした。CLILはこれに対し、目標言語を学ぶのではなく、内容教育を目標言語で学ぶという考え方をとり、内容教育という文脈の中で目標言語に触れる方法をとります。

CLILの授業を作るのに4つのC(4C)は欠かせません。それは、Content(科目やトピック)、Communication(語彙・文法・発音などの言語知識と4技能の言語使用)、Congnition(暗記・理解などの低次の思考力と、分析・創造などの高次の思考力)、Community あるいは Culture(協学・異文化理解)です。
| Content(内容) | ・高齢ドライバーのペダル踏み間違いによる事故が増加していることについて知る |
|---|---|
| Communication(言語知識と言語使用) | ・高齢ドライバーの事故にまつわることばを知る・それに関する説明をする |
| Cognition(思考) | ・踏み間違い事故について理解する・踏み間違い事故が発生する原因を考える・対策を考える |
| Community/Culture(協学・異文化理解) | ・グループで話し合い考える |
例えば、「高齢ドライバーのペダル踏み間違いによる事故の増加について知る」という授業(中級・上級)を行うとします。はじめにこのような事故が日本で増加していることについて教師から説明をして、学習者の母国や身の回りでも同様の事故があるかどうかを聞いたりして背景知識を活性化させます。次に、教師は適宜スライドや配布資料などを用いて、このトピックに関する「ペダル」「アクセル」「ブレーキ」「踏み間違い」「認知機能」などのことばを確認します。そのあとは、トピックに触れて感じたことや考えたこと、踏み間違いが起こる原因やその対策についてプリントにまとめたり、グループで話し合ったりして考えを深めさせます。
CLILはこのような形で文脈を用意し、生きた言語使用を学習者に提供します。
参考文献
和泉伸一(2016)『フォーカス・オン・フォームとCLILの英語授業』アルク
奥野由紀子・小林明子・佐藤礼子・元田静・渡部倫子(2018)『日本語教師のためのCLIL(内容言語統合型学習)入門』凡人社

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