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擬人法とは?

擬人法(personification)

 擬人法(personification)とは、人間以外の生物、非生物、抽象的概念などを人間に喩え人格化する表現のことです。

 (1) 電気が走る
 (2) 膝が笑う
 (3) パンの
 (4) 失敗は成功の

 (1)は「電気」のような本来意志のないものを、まるで人間のように意志を持った存在のように喩えて擬人化しています。(2)も同じ。(3)はパンと人の顔の形状に類似性を見出し喩えています。擬人法は人間以外と人間の間に類似性を見出した比喩であり、隠喩メタファー)の一種です。

 (5) 天の裁き
 (6) 大地の怒り
 (7) 宇宙の意志

 佐藤ら(2006: 568)は(5)~(7)のような例を人格化というより神格化しているものとして扱っていますが、抽象的概念に意志があるように扱っている点から見ても擬人法として見て良さそうです。
 人間から見ると人間、動物、植物、物、抽象的概念などには序列があって、その頂点に人間が立っているものと考えられます。擬人法は人間よりも下位に位置する存在を人間と同じ序列に引き上げる表現方法で、このような表現をするのは、人間があらゆる現象を捉えるときに最も身近である自分自身、すなわち人間基準で捉えると分かりやすくなるからです。それゆえ擬人法は一般に広く用いられている表現技法です。

参考文献

 佐藤信夫・佐々木健一・松尾大(2006)『レトリック事典』568-574頁.大修館書店
 瀬戸賢一(1997)『認識のレトリック』85-94頁.海鳴社
 辻幸夫(2003)『認知言語学への招待(シリーズ認知言語学入門(第1巻))』141頁.大修館書店

 瀬戸(1997)がおすすめ! 読みやすい。




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